根強い円安、米CPIショックをこなしたドル円 156円のトライが焦点に
16日の外為市場は円安優勢の展開となった。ドル円(USD/JPY)は155円台へ難なく上昇し、強気相場にあることを市場参加者に印象付けた。米CPIショックを早くもこなしたドル円の展望は?注目のチャートポイントは?
サマリー
・米CPIでドル円は153円台へ下落するも強気相場を維持している
・FRBは慎重姿勢を崩さず市場の利下げ期待が再び後退
・今日もドル円が上昇する場合、まずは155円ミドルの突破を確認したい
・ドル円の下落局面では153.60レベルの維持が目先の焦点となろう
早くも米CPIショックをこなしたドル円
米労働省が15日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)は3月から鈍化した。インフレの鈍化傾向が確認されたことで米債市場では利回りが低下し、短期金融市場では9月の利下げ期待が高まった。
これらの動きを受けドル円(USD/JPY)は、153.60レベルまで下落する局面が見れた。
しかし、昨日は米ドルの買戻しと根強い円安にサポートされ21日線をあっさりと回復。しかも長い下ヒゲでの反発となりモメンタムも上昇基調にある。
昨日の動きは、ドル円が強気相場を維持していることを市場参加者に印象付けた。
ドル円のチャート:日足 23年12月以降
慎重姿勢を貫くFRB
ニューヨーク地区連銀のウィリアムズ総裁は16日に公表されたロイター通信とのインタビューで、CPIの鈍化を歓迎しつつも早期の利下げを唱えるには不十分との見解を示した。
また、クリーブランド地区連銀のメスター総裁もインフレが物価目標の2%に向かっているとの確信を得るにはさらなるデータが必要であり、政策金利をより長く高水準に維持するべきとの考えを示した。
慎重姿勢を貫くFRB高官らの言動を受け、4月の雇用統計やCPIの内容を受けて高まった9月の利下げ期待だが、今は五分五分の状況に戻っている。
米金利は低下の基調にあり、米ドル高の圧力もジワリと後退しているが、利下げ期待が揺れ動く現状を考えるならば、来週以降発表される重要指標で経済の堅調さが確認される場合は、根強い米ドル買いが予想される。
今の円安相場に米ドルの買戻しが重なる場合、ドル円(USD/JPY)は下で述べるレジスタンスの攻防に注目したい。
ドル円、今日の展望とチャート分析
なおも続く円安
16日の外為市場は、円安優勢の展開となった。上で述べたとおり、さえない雇用統計やインフレの鈍化傾向を示唆したCPIを受けても米国の利下げ観測が揺れ動いている状況を考えるならば、ドル円(USD/JPY)は調整の反落を挟みながらも、新たな高値の水準を見極める状況にある。
円相場の動向:5月16日
まずは155円ミドルの突破が焦点に
ドル円(USD/JPY)が上昇トレンドを維持する場合、今日は155円ミドルの攻防が最初の焦点となろう。昨日は155.50レベルで相場の反発が止められた。また、155.57レベルは、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。
ドル円が155円ミドルの攻防を制する場合は、156.00のトライが焦点となろう。この水準は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%(156.03レベル)にあたる。テクニカルの面で156.00はレジスタンスとして意識される可能性がある。
156円台へ上昇できるかどうか
ドル円(USD/JPY)が156.00をトライするシグナルとして、155.80レベルの攻防に注目したい。15日の欧州タイムからNYタイム序盤にかけて、この水準はレジスタンスとして意識された経緯がある。
ドル円がしっかりと156円台へ上昇する場合は、156.60レベルの攻防に注目したい。この水準は14日の東京タイムから15日の東京タイムにかけてレジスタンスポイントとして意識された経緯がある。
156.60レベルの上方ブレイクは、157.00をトライするシグナルとなろう。
ドル円のチャート:1時間足 5月14日以降
反落の局面ではエクステンションの攻防に注目
一方、ドル円(USD/JPY)が下値をトライする局面では、昨日の安値153.60レベルの維持が目先の焦点となろう。このサポート水準をトライするシグナルとして、フィボナッチ・エクステンションの攻防に注目したい。
エクステンション以外で注目したいのが、155.20レベルと154.60レベルである(下のチャート、赤ラインを参照)。これらの水準は相場をサポートした経緯がる。
前者の155.20レベルの下方ブレイクは、エクステンション23.6%の水準154.78レベルをトライするシグナルとなろう。後者の154.60レベルの下方ブレイクは、38.2%の水準154.31レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
また、半値戻し(153.94レベル)の攻防となる場合は、154円台を維持できるかどうか?この点を見極める水準として注目したい。
分足や時間足のストキャスティクスとRSIを軸に相場の過熱感を確認し、上で述べたレジスタンスとサポートの水準で反落・反転のタイミングを考えたい。
本レポートの掲載時点で1時間足のストキャスティクスは買われ過ぎの水準にある。RSIでも相場の過熱感(買われ過ぎ)が意識され、かつデッドクロスが確認される場合は、上で述べたレジスタンスの水準での反落を想定しておきたい。
ドル円のチャート:1時間足 5月14日以降
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