止まらない円安、FRB高官の発言と米ドル買い、ドル円は157円が視野に
円安の進行が続くなか、米債市場では利回りが反発の基調にある。FRBはインフレの低下に確信が持てず慎重姿勢を維持し、9月利上げの確率が再び50%を割り込んできた。円安と米ドルの買戻しが重なる場合、ドル円は157円のトライが焦点となろう。一方、反落局面でのチャートポイントは?
サマリー
・外為市場では円安が進行する一方、米ドルは買戻しのムードにある
・米金利が再び反発していることで、日米利回り格差の縮小が一服している
・FRB高官の発言が米金利の上昇要因となれば、ドル円は157円をトライしよう
・一方、ドル円の反落局面では156円のサポート転換に注目したい
外為市場の動向:止まらない円安、買戻しの米ドル
20日の外為市場はクロス円を中心に円安が進行した。一方、直近の米債市場では利回りが再び反発の基調へ転じている。この動きを受け、昨日の米ドル相場はスウェーデンクローナやメキシコペソを除き米ドル高優勢の展開となった。
円安と米ドルの買戻しが重なり、ドル円(USD/JPY)は156円台の攻防へシフトしている。
円相場と米ドル相場の動向:5月20日
ドル円、今日の見通しとチャート分析
縮小が止まった日米の利回り格差
ドル円(USD/JPY)は20日、156円台へしっかりと上昇してきた。
ドル円のトレンドに大きな影響を与える日米の利回り格差の動きを確認すると、米金利の反発基調を受け縮小の傾向が一服している。
日米の利回り格差が再び拡大傾向へ転じるかどうか?その鍵を握るのが米債市場の動きとなろう。今日以降、米連邦準備制度理事会(FRB)の高官らの言動が米債市場の変動要因となろう。
日米利回り格差の動向:23年11月以降
「インフレが低下しない」リスクを警戒するFRB
予想を下回った4月の雇用統計とインフレが鈍化の傾向にあることを示唆した同月の消費者物価指数(CPI)を受けても、ウィリアムズ・NY連銀総裁やバーキン・リッチモンド連銀総裁ら数人のFRB高官からは、物価目標の2%に向かってインフレが低下すると確信を得るためには時間が必要との意見が聞かれた。
昨日、アトランタ連銀開催の会議に出席したバーFRB副議長は、第1四半期のインフレ指標について期待外れと評価し、金融引き締め政策が効果を発揮し続けるにはもう少し時間が必要との見解を示した。
一方、米抵当銀行協会の会議に出席したジェファーソンFRB副議長からも、インフレ率が持続的に物価目標の2%向かう軌道に戻ったのかを判断するのは時期尚早と述べた。
「インフレが低下しない」リスクを警戒するパウエルFRBの姿勢を受け、短期金融市場では9月利下げの確率が再び50%を割り込んできた。
今週のFRB高官らの言動が総じて“タカ派”寄りと米債市場で捉えられる場合は、9月利下げの期待が再び後退しよう。利下げ期待の後退は米金利の反発要因となろう。そして米金利の反発は、米ドルの買戻しを促そう。
ドル円は157円のトライが視野に
根強い円安と米ドルの買戻しを受け、ドル円(USD/JPY)は20日、156円台へしっかりと上昇してきた。
テクニカルの面では、短期サポートラインと50日線を維持し、21日線を完全に突破してきた。その21日線はサポートラインとして相場を下支えしている(下のチャート、青ラインを参照)。
米金利の反発を受け日米利回り格差の縮小が一服している状況も考えるならば、ドル円はIG為替レポートで注目している157.00レベルをトライする可能性が次第に高まっている。
ドル円が157円をトライするシグナルとして注目したいのが、昨日のIG為替レポートで取り上げた156.60レベル、そして5月14日の高値156.78レベルのブレイクアウトである。
156.60レベルの突破は156.78レベルをトライするシグナルとなろう。そしてドル円が156.78レベルをも完全に突破すれば、157.00のトライを意識したい。
ドル円のチャート:日足 23年12月以降
反落の局面では156円のサポート転換が焦点に
一方、ドル円(USD/JPY)の反落局面で最初に注目したいのが、156.00レベルの「サポート転換」である。
先週17日に相場の上昇止めたこの水準は、昨日のNYタイムでは相場を下支えした。156.00レベルがサポートの水準へ転換すれば、ドル円の地合いの強さを市場参加者に強く印象付けよう。
ドル円が155円以下の攻防となる場合は、フィボナッチ・エクステンションの攻防に注目したい。
155円ミドルの水準は23.6%戻しにあたり、先週16日以降、レジスタンスとしてもサポートとしても意識される局面が見られた。今はサポートの水準として意識しておきたい。
155.09レベルの38.2%戻しのトライは、155円の維持を見極める攻防となろう。サポートの水準として意識されている155.20の下方ブレイクは、155.00(フィボナッチ・エクステンションの38.2%の水準)をトライするシグナルとなろう。
ドル円が155円を下方ブレイクする場合は、半値戻しの水準154.71レベルまでの下落を想定しておきたい。
なお、1時間足のストキャスティクスは買われ過ぎの水準でデッドクロスの状況にある(レポート掲載時点、下のチャート赤矢印を参照)。買われ過ぎの水準で推移しているRSIでもデッドクロスの状況が確認される場合は調整の反落を意識したい。
実際にドル円が下値をトライする場合は上で述べたサポートの水準、特に156.00前後で相場が反発するかどうか?まずはこの点を確認したい。
ドル円のチャート:1時間足 5月14日以降
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