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「米金利の上昇→米ドル高」再び、焦点はPCEデフレーター、ドル円は158円をロックオン

米金利が再び上昇基調にある。この動きを受け、日米の利回り格差も再び拡大の傾向へ転じている。157円台へしっかりと上昇してきたドル円(USD/JPY)。新規失業保険申請件数と4月PCEデフレーターの内容次第では、さらに上値を目指す展開が予想される。次に注目したいレジスタンスの水準は?


サマリー

・FRBの慎重姿勢、強い経済指標、低調な入札で米金利の上昇幅が拡大している
・米金利の上昇を受けドルインデックスは21日線をブレイク、米ドル高のムードが高まる
・上昇トレンドを維持するドル円は158円をロックオン
・新規失業保険申請件数やPCEデフレーター次第では159円が視野に


「米金利の上昇→米ドル高」再び

29日の外為市場は米ドル高の展開となった。米ドル高の主因は米金利の上昇にある。

米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ再燃に対する警戒レベルは依然として高い。今週28日に発表された5月の消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)は前月から大幅に改善した。そして直近の国債入札は低調な内容となった。

これらが材料視され、29日の米債市場では10年債利回り(長期金利)が4.6%台へ到達した。一方、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは4.99%まで上昇し、再び5%台の水準が視野に入ってきた。

米金利のチャート:15分足 5月14日以降

米金利のチャート:15分足 5月14日以降 TradingView提供のチャートで作成

米ドル高圧力の根強さを示唆するドルインデックス

米ドル相場の大まかなトレンドを示すドルインデックス(DXY)は昨日、先週の後半に相場の反発を止めた21日線を大陽線で一気に上方ブレイクし、105ポイント台へしっかりと上昇してきた。短期サポートラインを維持しての21日線ブレイクは、米ドル相場の地合いの強さが戻りつつあることを示唆している。

この点はMACDの動きも示唆している。現在はゼロラインを下回る状況にあるが、ゴールデンクロスを形成するムードにある。MACDがゼロラインを突破してくる場合は、米ドル高圧力の根強さを印象を市場参加者に与えよう。

ドルインデックスのチャート:日足 23年12月以降

ドルインデックスのチャート:日足 23年12月以降 TradingView提供のチャートで作成

焦点は経済指標、PCEデフレーター後の動きに注目

今日は週間の米新規失業保険申請件数が発表される。そして明日は、米連邦準備制度理事会(FRB)が注目する物価指数、4月の個人消費支出(PCE)価格指数(以下ではPCEデフレーター)が発表される。

米金利に上昇の圧力が高まっている状況で労働市場の堅調さ、そして何よりもPCEデフレーターでインフレの粘着性を示す内容が確認される場合、米金利の上昇幅拡大が予想される。

ドルインデックス(DXY)は、5月9日の高値105.74レベルを視野に米ドル高がさらに進行する展開が予想される。

米国 個人消費支出(PCE)価格指数:23年以降

米国 個人消費支出(PCE)価格指数:23年以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

ドル円、目先の見通しと注目のチャートポイント

再び拡大する日米の利回り格差、後退する9月の利下げ確率

昨日の外為市場は、円高優勢の展開となった。しかし米ドル高の圧力が勝り、ドル円(USD/JPY)は高値157.71レベルまで上昇した。ドル円が円高の圧力を跳ね除けた主因は、日米利回り格差の拡大にあると思われる。

国内の債券市場では緩和政策からの完全な脱却に向かっている日銀の姿勢を受け、各年限の利回りがジワリと上昇している。しかし冒頭で述べたとおり、5月の下旬以降、米債市場では金利の上昇幅が拡大している。

米金利の動向を受け、日米の利回り格差は再び拡大の傾向にある(下のチャート、赤ゾーンを参照)。上で述べた米国の経済指標、特に31日の4月PCEデフレーターでインフレの粘着性が確認される場合、9月の利下げ確率がさらに低下しよう。

なお、短期金融市場では現在、その確率が40%を割り込む寸前まで低下する状況にある。米利下げ期待のさらなる後退は、米金利のさらなる上昇要因となろう。

米金利の上昇が続けば、日米の利回り格差は拡大の傾向を辿るだろう。ドル円は上値トライの状況が続く展開を想定しておきたい。

日米利回り格差の動向:23年10月以降

日米利回り格差の動向:23年10月以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

ドル円は158円をロックオン

今のトレンドを考えるならば、今日以降のドル円(USD/JPY)は158円のトライが焦点となろう。

4月29日に突然円相場が急伸した。その後に発生した反発相場を止めたのが158.00レベルだった。そして5月2日の早朝に再び円相場が急伸した。この時の高値水準も158.00レベルだった。いずれの円高も政府・日銀による為替介入(円買い介入)の観測がある。ゆえに158.00レベルは重要なレジスタンスポイントであり、ドル円がこの水準(158.00レベル)を難なく上方ブレイクすれば、強気相場が続くシグナルとなろう。

イエレン米財務官は4月の下旬以降、為替市場への介入については「まれであるべき」との認識を何度も示している。米国サイドのけん制は、158.00レベルでの政府・日銀による為替介入の可能性を低下させたと筆者は考えている。上で述べた米経済指標の内容次第でドル円は、158.00を一気に上方ブレイクする展開を想定しておきたい。

予想通りにドル円がしっかりと158円台へ上昇し、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準158.23レベルをも完全に上方ブレイクすれば、159円を視野に上昇幅の拡大を予想する。

ドル円のチャート:4時間足 4月24日以降

ドル円のチャート:4時間足 4月24日以降 TradingView提供のチャートで作成

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