【ドル円】今日の見通しとチャートポイント
強い経済指標とFRB高官らの発言を受け、米金利は上昇基調を維持している。外為市場では米ドル高が進行している。ドル円(USD/JPY)は突発的な円高を警戒しながらも、155円のトライを意識する状況にある。今日の見通しとチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・米金利は上昇基調を維持し、外為市場では米ドル高優勢の状況が続いている
・米利下げ時期の後ずれは、米ドル相場のサポート要因となろう
・突発的な円高を警戒しながらも、ドル円は155円のトライを意識する状況にある
・ドル円、今日のチャートポイントについて
米金利の上昇と米ドル高の進行
16日の外為市場は米ドル高優勢の展開となった。米債市場ではインフレ圧力の根強さと個人消費の底堅さを受け、米国の10年債利回りが4.6%台まで上昇している。
この動きに追随し、米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は106ポイント台の攻防へシフトしている。
米国10年債利回りとドルインデックスのチャート:15分足 米国CPI発表以降の動向
後ずれする利下げの時期
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は16日のイベントで、根強いインフレ圧力を考慮し、利下げの時期が後ろ倒しになることを示唆した。
ジェファーソン副議長もインフレが予想通りに減速しない場合は、現在の金融引き締め姿勢をより長期に渡り維持することが適切と指摘した。
また、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は15日、目標とする2%をインフレ率が上回る状況にあり、利下げを急ぐ必要はないとの考えを示した。
直近の経済指標の内容とFRB高官らによる一連の発言を受け、短期金融市場では6月はおろか7月の利下げ観測も後退し、現在は9月利下げの可能性を探る状況にある。
米国 政策金利の予想推移
米ドル高を意識する状況が続く
米利下げ期待の後退と米金利の上昇は、米ドル相場のサポート要因となっている。
事実、米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は106ポイント台へ上昇した後も上値トライの状況が続いている。そして日足のモメンタムは、強気相場に勢いが増していることを示唆している。
昨日の高値水準106.51レベルを上方ブレイクする場合は、昨年11月の高値107.11レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
ドルインデックスのチャート:日足 23年10月以降
ドル円:今日の見通しとチャートポイント
上昇局面でのチャートポイント
昨日のNY時間にドル円(USD/JPY)は、154.00レベルをトライする円の買戻しが見られた。すぐに反発した経緯を考えるならば、円買い介入の可能性を意識した投機的な動きと考えることができる。155.00レベルをトライする過程では、円買い介入に絡んだ突発的な円高を警戒したい。
だが、上で述べたとおり米金利は上昇基調にある。この動きを受け日米の利回り格差も拡大の傾向にある(下のチャート、赤ゾーンを参照)。
ドル円のトレンドを左右する日米利回り格差のトレンドが転換しない限り、ドル円は上昇相場を意識する状況が続こう。突破的な円高が見られても、現在の状況では絶好の押し目買いの機会として捉えられるだろう。
日米利回り格差のチャート:日足23年以降
日足のモメンタムは、ドル円の強気相場に勢いが増していることを示唆している(下のチャートを参照)。今日もドル円が上昇基調を維持する場合は、引き続き155.00レベルのトライおよびブレイクアウトが焦点となろう。昨日の高値154.78レベルの突破は、155.00レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
ドル円が155円台へ上昇する場合は、IG為替レポートで注目しているV計算値の水準155.28レベルの攻防に注目したい。この水準をも簡単に突破する場合は、155円のミドルそして156.00レベルのトライを意識したい。
ドル円のチャート:日足 23年12月以降
反落局面でのチャートポイント
一方、ドル円(USD/JPY)の反落局面では、154円の維持が焦点となろう。昨日はこの水準で相場がサポートされた。154円台で底固めのムードが高まれば、155円をトライする可能性が高まろう。
なお、5日線が今日現在、154.00レベルで推移している(上の日足チャート、青ラインを参照)。テクニカルの面でも154.00の攻防に注目したい。
ドル円が153円台の攻防となる場合は、153.60台の攻防が焦点となろう。直近高安のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準が153.63レベルにあたる(下の1時間足チャートを参照)。
現在の地合いの強さを考えるならば可能性は低いが、ドル円が153.30前後をトライする可能性も意識しておきたい。このチャートポイントは、直近高安の半値戻し(153.27レベル)にあたり、かつサポート転換の可能性を意識する水準でもある。
分足や時間足のストキャスティクスとRSIでトレンドを追い、反落または反発のタイミングを見極めたい。
ドル円のチャート:1時間足 4月10日以降
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