植田総裁の発言で円高一服、次の焦点は米経済指標、ドル円 今日の見通し
1月CPIでインフレ基調があらためて確認された。日銀の植田和男総裁の発言を受け、21日の東京時間では円高が一服している。ドル円は150円後半まで反発した。次の焦点は米国の経済指標となろう。
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記事の概要
国内の金利は、日銀の植田和男総裁の発言を受け低下した。国内金利の低下でドル円は150円後半まで反発する局面が見られた。しかし1月のCPIでは、国内のインフレが着実に進行していることが確認された。この点は、日銀による早期利上げの可能性を市場参加者に意識させるだろう。次の焦点は、米国の経済指標にシフトするだろう。今日の予想レンジ下限は149.00レベル、上限は151.15レベル。
1月CPIは予想どおりも国内のインフレは着実に進行中
本日、総務省が発表した1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で4.0%上昇し、ブルームバーグがまとめた市場予想と一致した。一方、生鮮食品を除くコア指数は前年同月比3.2%上昇し、市場予想の同比3.1%をわずかに上回った。生鮮食品とエネルギーを除くコアコア指数は前年同月比2.5%上昇し、市場予想と一致した。
1月のCPIはほぼ市場予想通りの内容だった。しかし、国内のインフレは着実に進行している。食料品価格の上昇で総合指数は2023年1月以来の4%台へ上昇した。日銀が注視するコア指数(下のチャート、赤ラインを参照)は2022年の4月以降、恒常的に2%の水準を上回る状況にある。
国内の消費者物価指数(CPI):2024年1月~2025年1月
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国内の消費者物価指数(CPI):2024年1月~2025年1月
植田日銀総裁の発言で国内金利が低下、円高一服でドル円反発
1月のCPI発表後、ドル円(USD/JPY)は売り買いが交錯した。しかし、午前10時以降は次第に円安優勢へ転じた。要因は日銀の植田和男総裁の発言だった。
植田総裁は衆院予算委員会で、長期金利が例外的に急上昇すれば機動的に国債買い入れを増額する考えを示した。この発言を受け国内の債券市場では利回りが低下した。国内金利の低下は円高圧力を後退させ、ドル円は150円台後半まで急反発する局面が見られた(下のチャートを参照)。
だが、国内のインフレが着実に進行している状況は、日銀による早期利上げの可能性を外為市場の参加者に意識させるだろう。ゆえに円高を警戒する状況が続くだろう。事実ドル円は、151.00手前で失速している。
ドル円のチャート:15分足 2月20日以降
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出所:TradingView / 21日 午後2時まで
次の焦点は米国の経済指標
1月の国内CPIと植田日銀総裁の答弁を通過したことで、次は米国の経済指標が変動要因となろう。今日は2月の購買担当者景気指数(PMI)速報値と同月のミシガン大学調査による期待インフレ率(確報値)が発表される。
近年、PMIは景気動向のデータとして重視されている。2月の総合指数は製造業の改善に支えらえる見通しにある。企業活動の拡大が確認され場合は、米金利の反発要因になり得る。このケースでは、ドル円(USD/JPY)の上昇を想定したい。一方、総合指数が予想を下回る場合、ドル円は再び149円台を視野に反落する可能性がある。
米国 購買担当者景気指数(PMI):2024年2月以降
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ブルームバーグのデータで筆者が作成
現在は、トランプ関税によるインフレの再燃が意識されている。ミシガン大学調査の期待インフレ率が速報値から上方修正される場合は、米金利の上昇要因となろう。2月PMI速報値も予想を上回る場合は、米金利が反発する可能性をさらに高めるだろう。このケースでのドル円は、下でまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。一方、予想外に下方修正される場合は、ドル円の下落要因になり得る。
ミシガン大学消費者信頼感指数と期待インフレ率の動向:2024年2月以降
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ブルームバーグのデータで筆者が作成
ドル円 今日の見通しとテクニカルライン
151円台への反発が焦点に
円高が一服するなか、今晩の米経済指標が金利反発の要因となれば、ドル円(USD/JPY)は151円のトライが焦点となろう。以下に今日注目のレジスタンスラインをまとめた。
・植田和男総裁の発言を受けドル円は150円後半まで反発する局面が見られた。目先は、直近高安の半値戻しの水準150.79レベルの攻防に注目したい。このテクニカルラインは東京時間の急反発を止めた経緯がある。半値戻しの突破は、151円をトライするサインとなろう。今日現在、151.00レベルには5日線が推移している。テクニカルの面でも151.00レベルをレジスタンスラインの候補と想定しておきたい
・ドル円が151円台へ上昇する場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準151.15レベルの攻防が焦点に浮上しよう。この水準をトライする場合、本日早朝の安値から約2円上昇することになる。このテクニカルラインを今日の予想レンジの上限と想定したい。だが強い米経済指標が重なれば、予想レンジの上限を突破する可能性がある。このケースでは、瞬間的にフィボナッチ・エクステンション76.4%の水準151.59まで上昇する可能性があろう
・21日のNY市場終了時点でドル円が151円台を維持する場合は、来週以降、10日線と200日線まで反発する可能性があろう
レジスタンスライン
・151.59:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(45分足)
・151.15:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(45分足)
・151.00:5日線(日足)
・151.79:半値戻しの水準(45分足)
149円の維持
植田総裁の答弁を受け、円高が一服している。しかし、国内のインフレ圧力は着実に高まっている。食料品の価格だけでなく、人手不足による人件費でも持続的な上昇が見込まれている状況を考えるならば、日銀の早期利上げ観測による円高は続くことが予想される。今晩の米経済指標がドル安の要因となれば、149円台への反落を想定したい。
・レポート掲載時点で、ドル円は150円台で推移している。150.00を再び下方ブレイクする場合は、サポートラインへ転換する兆しが見られる149.80レベルの攻防に注目したい
・149.80レベルを下方ブレイクする場合は、昨年9月の安値と今年1月10日の高値の半値戻しの水準149.23レベルのトライを想定したい。本日の早朝に149.26まで下落したが、半値戻しの水準が意識され反発した
・半値戻しの下方ブレイクは、149.00をトライするサインと捉えたい
サポートライン
・148.80:サポート転換を意識するライン(45分足)
・149.23:半値戻し(日足)
・149.00:サポートライン(45分足)
ドル円のチャート
日足:2024年9月以降
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出所:TradingView
45分足:2月19日以降
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出所:TradingView
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