日経平均、バブル後最高値迫る 2か月半ぶり水準 S&P500失速
日経平均が7月3日以来のバブル後最高値更新に迫っている。しかしアメリカの株式相場は不安定で、株価の行方は見通せない。
日経平均株価の上昇に期待が高まっている。日経平均の15日の終値は1週間前比で900円超の値上がり。3万3000円台を維持し、2か月半ぶりのバブル後最高値更新も視野に入る水準となった。日経平均を押し上げたのはアメリカ経済の堅調さ。為替相場で円安が続いていることも安心材料となっている。しかし米国の株式市場では15日にS&P500種株価指数が急落し、週次でのマイナスに転じた。米国の長期金利(10年物米国債利回り)は改めて4.3%台まで上昇しており、日米の株式相場の見通しは決して明るくない。
日経平均が3万3000円台へ勢いづく
日経平均(N225)の15日の終値は前日比364.99円高の3万3533.09円。日経平均は12日にも300円超、14日にも400円超上昇しており、1週間で926.25円値上がりする勢いをみせた。週末の終値が3万3000円を超えるのは6月30日以来で、7月3日につけたバブル後最高値(3万3753.33円)まで200円余りに迫っている。
日経平均を押し上げたのは米国経済の堅調さだ。13日に発表された8月の消費者物価指数(CPI)は食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率が4.3%まで下がり、米国経済の過熱に対する不安が後退。また、日本株にとってはドル円相場(USD/JPY)が1ドル=147円台の円安ドル高水準で推移し、輸出企業の業績下支えや海外投資家の日本株買いにも期待が出ている。
アメリカの株式市場では15日にS&P500が急落
しかし米国の株式相場は安定性を欠いている。日本市場の15日の取引終了後に始まった15日の米国の株式市場では、S&P500(SPX)の終値が前日比で1.2%下落。前日には約2週間ぶりの上昇率となる0.84%高となっていたが、今度は8月24日(1.4%安)以来約3週間ぶりの下落率を記録した形だ。
15日の米国の株式相場を押し下げたのは長期金利の上昇だ。金融情報会社リフィニティブのデータによると、ニューヨーク債券市場では長期金利が4.322%で取引を終え、8月22日(4.328%)以来、約3週間ぶりの4.3%台をつけた。米国経済の堅調さは物価上昇圧力を強める要因で、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を高止まりさせるとのシナリオも意識させる。金利水準が上がれば、株式の投資先としての魅力は相対的に薄れるため、株価には下押し圧力がかかりやすくなる。
アメリカ経済は物価上昇との闘いが最優先事項
8月のCPIの落ち着きを受けて、金融市場では19、20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが見送られるとの見方が支配的だ。しかし11月や12月のFOMCで改めて利上げが行われる可能性は消えていない。ユーロ圏では欧州中央銀行(ECB)が利上げ打ち止めを示唆しているが、ユーロ圏のような経済活動の衰えが感じられない米国経済では、引き続き物価上昇との闘いが最優先事項だといえる。
一方、日本経済では実質賃金の低下が続くなど、経済に対する前向きなムードは崩れてきている。バブル後最高値更新を見据える日経平均の上昇はもろさをはらんでいるといえそうだ。
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