原油高の不安を克服? S&P500続伸 WTIは90ドル突破
原油価格が10か月ぶりの90ドルでもS&P500は強さをみせた。ただ、長期金利は上がっており、先行き不安は残る。
アメリカの株式相場が原油高に負けない強さをみせた。14日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、原油の指標価格であるWTI先物価格(翌月渡し)の終値が約10か月ぶりに1バレル=90ドルを突破。一方、S&P500種株価指数の終値は約2週間ぶりの上昇率で、続伸した。原油高が金利上昇を連想させて株価を下押しするパターンが崩れた形だ。ただし14日の長期金利(10年物国債利回り)は再び4.3%台に迫る水準まで上昇。消費の強さを示す経済指標も発表されており、金利の先高観が株価の先行きを暗くしている。
WTIが10か月ぶりに90ドルを突破
金融情報会社リフィニティブのデータによると、原油価格の指標であるWTI(WTI原油)は14日、前日比1.64ドル高の1バレル=90.16ドルで取引を終えた。WTIが90ドルを超えるのは2022年11月7日(91.79ドル)以来。サウジアラビアが5日に日量100万バレルの自主減産を3か月延長すると発表したことが、引き続き原油価格の先高観を強めている。
一方、14日の株式市場ではS&P500(SPX)が2営業日続伸し、終値は前日比0.84%高の4505.10となった。8月29日(1.45%高)以来の高い伸びだ。
S&P500はサウジが減産延長を発表した5日以降、原油価格が上がると下押しされる傾向が続いてきた。原油高が物価上昇を招き、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を高止まりさせる環境が強まるとの筋書きが意識されたためだ。しかし13日に発表された米国の8月の消費者物価指数(CPI)は食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率が4.3%まで下がり、株式市場で物価上昇への警戒が後退したことがS&P500を下支えしたようだ。
アメリカの長期金利は4.3%台目前まで上昇
ただし株式市場の不安要因となっている金利上昇の懸念はむしろ強まっている。14日のニューヨーク債券市場では長期金利が4.290%まで上がり、8月22日以来の4.3%台が近づいた。また14日発表の米国の8月の小売売上高の伸び率は前月比0.6%増で、市場予想の0.2%を上回る結果。自動車・部品を除いたベースでみても、0.6%増となり、こちらも市場予想(0.4%)を超えた。原油高がガソリン価格の値上がりを招いているにも関わらず、消費の強さが維持されているといえ、物価上昇圧力の強さを感じさせる。
FRBが物価動向の指標として重視するコア指数はエネルギー価格の変動の直接的な影響を受けない。このため原油高がそのまま金利高につながるとの不安は薄れつつある。しかし米国の物価上昇が長引く可能性は消えておらず、金利上昇への不安が株価を下押しする要因である状況に変わりはなさそうだ。
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