原油価格10%超上昇 需要後退なら再下落も 米在庫の見通しは?
WTIは6営業日連続で80ドル台を維持。ただし夏場の需要が弱くなれば、原油価格に下押し圧力がかかる可能性もある。
原油価格が回復している。原油先物市場の指標価格であるWTIは25日のニューヨーク市場の終値が1バレル=80.83ドル。6営業日連続での80ドル超で、6月初めにつけた73ドル台から10%超上昇している。夏のドライブシーズンに向けた需要拡大期待を背景に、FX市場でのドル高という逆風を跳ね返しての値上がりだ。ただしアメリカの原油在庫は予想を超える増加も目立つ。夏に入っても需要が高まらないとの見通しにつながれば、値動きの激しいWTIがこのまま80ドル台を維持できるかには不安も残る。
原油価格が上昇 WTIは6営業日連続で80ドル台
LSEGによると、WTI(WTI 原油)が今月に入って初めて終値での80ドル台をつけたのは17日。1か月ぶりの80ドル台だった。20日に82.17ドルまで上昇した後は値上がりと値下がりを繰り返しているが、やはり80ドル台を割り込むことなく推移している。25日の終値は、6月4日につけた終値としての直近の安値(73.25ドル)との比較では10.35%高の水準だ。
原油価格値上がりの背景には、北半球が夏のドライブシーズンに近づく中、原油需要が増していくとの見通しがある。一方、FX市場では6月に入ってからドル高が進行。LSEGのデータでは、ドルの他通貨に対する相対的な強さを示すドルインデックス指数(ドルインデックス指数)は25日の終値で105.61をつけ、5月31日(104.67)との比較では約0.9%のドル高となっている。ドル高は他通貨の保有者からみた原油価格を割高にする効果があるが、それでも原油への買いが進んできたといえる。
アメリカの原油在庫は高止まり 26日発表分は減少見通し
ただし原油市場での需要増加への期待は裏切られる可能性もある。アメリカのエネルギー情報局(EIA)が発表する週次の原油在庫(戦略備蓄除く)は6月14日時点のデータで4億5710万バレル。高止まりといえる状況。このところは事前予想を超えるペースで在庫が積みあがるケースも目立つ。5月31日時点のデータでは、在庫が前週比で231.1万バレル減るとの予想に対して実際は123.3万バレルの増加。6月7日時点のデータでは、102.5万バレル減少の予想に対して、結果は373万バレルの増加だった。
こうした中、原油市場ではEIAが26日午前10時30分(日本時間26日午後11時30分)に発表する、21日時点の原油在庫のデータに注目が集まる。ロイターがまとめた事前予想では前週比で285万バレルの減少となる見通しだが、減少幅が小さくなったり、在庫が積み増しになったりすれば、原油価格には下押し圧力がかかることになる。
原油価格は変動が大きく、2024年に入ってから6月25日までの121営業日のうち、2%を超える下落率だった取引日が10回。2%以上の上昇率だった取引日が14回あった。アメリカの代表的な株価指数であるS&P500種株価指数(SPX)の同じ期間の値動きでは、2%を超える下落率は1度もなく、2%を超える上昇率は1度だけだったことを考えれば、その差は歴然だ。今後も原油の需要や供給をめぐる思惑によって、WTIが大きく変動する場面が出てきそうだ。
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