原油価格、上昇加速も WTIが69ドルに値上がり 需要見通し焦点
WTIは69ドル前後で推移。前週末の66ドル台から反発している。シリア情勢の混乱や中国経済への期待が背景だ。
原油価格に値上がりの兆しが出てきた。原油先物市場の指標価格であるWTI(中心限月)は11日に1バレル=69ドル前後で取引され、6日の66ドル台から反発している。要因のひとつは、シリアの政権崩壊が中東情勢不安定化につながる懸念が出ていること。また中国の景気刺激策への期待も需要面から原油価格上昇を後押ししている。11日に発表される石油輸出国機構(OPEC)の月報や、アメリカの原油在庫量などで需要の強まりが意識されれば、原油価格がさらに上昇することも考えられそうだ。
WTIは一時、69.08ドル アサド政権崩壊や中国経済への期待が背景
ブルームバーグによると、WTI(WTI原油)は日本時間11日午前の取引で一時、1バレル=69.08ドルをつけた。WTIは6日には66.98ドルをつける場面もあったが、じわじわと値上がりが続いている。
原油価格上昇のきっかけは内戦が続いてきたシリア情勢の急転だ。8日には反政府勢力が首都ダマスカスを制圧したと報じられ、バッシャール・アル・アサド大統領はロシアに亡命。シリアの統治者不在が続けば中東情勢の不安定化が加速する可能性もあり、週明け9日のWTIを上昇させる要因となった。また、中国共産党の中央政治局会議は9日に、2025年に積極的な経済刺激策をとることを確認。原油需要が強まる可能性が材料視され、WTIの9日のニューヨーク市場の終値は前週末比1.74%高となった。
OPECの月報やアメリカの在庫量も原油価格を左右か
需要に関する見通しは、今後も原油市場を動かす可能性がある。OPECは11日に月報を発表する予定で、中国の需要見通しの水準が焦点となりそうだ。また米国のエネルギー情報局(EIA)も11日午前10時30分(日本時間12日午前0時30分)に、12月6日時点の原油在庫量(戦略備蓄除く)を発表する。ブルームバーグがまとめた市場予想では、1週間前から110万バレルの減少となる見通しだが、より大きな在庫の取り崩しとなれば原油需要の強さの表れとしてWTIの値上がり材料となりそうだ。
2025年の原油市場は「原油不足」との見通しも OPECプラス増産延期影響
原油市場の見通しをめぐっては、2025年は原油不足に陥るとの見方も出ている。EIAは10日に12月の短期エネルギー見通し(STEO)を発表。2025年の世界の石油需給について日量8万バレルの需要超過になるとした。11月の見通しでは31万バレルの供給超過とみていたが、供給見通しが42万バレル下方修正されたことが影響した。
EIAが示した見通しは、サウジアラビアやロシアで作るOPECプラスが5日に2025年1月から予定していた段階的増産の3か月延長を決めたことが影響している。6日の原油市場では、決定がほぼ予想に沿った内容だったことで値上がり圧力は限定的だったが、シリア情勢の変化や中国経済への期待の膨らみとタイミングが重なったことで、OPECプラスの増産延期が原油価格の値上がり材料として意識されやすくなったともいえそうだ。
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