原油価格の上昇に脆さ WTIは70ドル台 2025年の見通しは混迷
WTIは70ドル台で推移。12月上旬からの上昇基調を保っているが、勢いは乏しい。2025年の原油市場をめぐる予想は割れており、見通しは不透明だ。
原油価格が上昇基調をなんとか維持している。原油先物市場の指標価格であるWTI(中心限月)は日本時間18日の取引で1バレル=70ドル台で推移。12月上旬につけた66ドル台からの値上がりを保っている。ただ、中国経済の減速感も材料視される中、原油価格の上昇が勢いづいているわけではない。また、2025年の需給バランスをめぐっては、OPECプラスが増産延期を決める中でも、原油供給が過剰になるとの見方が出ており、原油価格を下押ししている。原油市場は、値上がり要因と値下がり要因がともに材料視されており、原油価格の今後の見通しが方向性を欠くことも考えられそうだ。
WTIは70ドル台で推移 12月上旬から上昇基調も勢いは乏しい
WTI(WTI原油)の17日のニューヨーク市場の終値は1バレル=70.08ドル。ブルームバーグによると、18日も70ドル台前半での取引が続いている。原油価格は12月6日に66ドル台をつけた後、8日のシリアの政権崩壊による中東情勢の不安定化を受けて上昇していた。70ドルを超える原油価格は上昇基調の維持を示しているといえそうだ。
中国の原油需要は低迷か IEAは2025年の供給超過を予想
ただ、原油価格は16日には71.44ドルまで上昇する場面もあったため、足元の水準には失速感もある。16日に発表された中国の小売売上高の伸びが市場予想を下回ったことなどが、中国景気の減速や原油需要が弱まる見通しを深めたことが要因だ。
中国の原油需要の低下見通しは、石油輸出国機構(OPEC)が11日に発表した12月の月報でも示されていた。月報では、2024年の中国の石油需要は2023年から日量43万バレル増える見通しとされ、11月月報での45万バレル増加から下方修正された。12月月報は2025年の世界全体の石油需要も下方修正。2024年からの増加幅は145万バレルとされ、11月月報での154万バレルから引き下げられている。
また2025年の原油市場をめぐっては、供給が需要を上回るとの見通しが出ている。国際エネルギー機関(IEA)が12日に公表した月報は、2025年の石油市場は日量140万バレルの供給超過になるとの見通しを示した。サウジアラビアやロシアなどで作るOPECプラスが4月から予定している段階的な増産を考慮した数字だ。IEAは段階的増産が行われなかったとしても日量95万バレルの供給超過になるとみている。
アメリカの原油在庫は取り崩しの見通し FRBの金融政策が原油市場に影響も
こうした見通しは米国のエネルギー情報局(EIA)が10日に発表した12月の短期エネルギー見通し(STEO)で2025年の世界の石油市場が日量8万バレルの需要超過になるとされたこととは対照的だ。2025年の世界経済をめぐっては中国経済の減速感と政府による景気刺激策の効果や、米国のトランプ次期政権が中東情勢に与える影響など不確実性が高く、見通しがつきにくい状態となっている。
こうした中、EIAが18日午前10時30分(日本時間19日午前0時30分)に発表する13日段階の原油在庫量(戦略備蓄除く)は、ブルームバーグがまとめた事前予想によると、1週間前から170万バレルの減少となる見通し。原油在庫は前週まで3週連続で市場予想を超える取り崩しとなっており、18日の発表でも原油需要の強さが印象づけられる可能性がある。この場合は原油価格に上昇圧力がかかることも考えられる。
また米連邦準備制度理事会(FRB)が18日午後2時(日本時間19日午前4時)に発表する政策金利などを材料視して、FX市場が大きく動くことも予想される。ドル高やドル安はドル以外の通貨を保有する投資家にとっての原油の割高感や割安感を左右するだけに、FRBの金融政策が原油市場の動向に影響を与えることも想定されそうだ。
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