原油価格、トランプ効果で下落 67ドル台 中国需要見通しも影響
WTIは12日に67ドル台後半をつけ、4営業日で7%超の下落。今後は12月1日に閣僚会合を開くOPECプラスの思惑に注目が集まる。
原油価格がアメリカの大統領選挙を経て大きく下落した。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は12日の取引で一時、1バレル=67ドル台後半まで下落。7日につけた72ドル台後半から5ドル超の値下がりとなった。米国内の原油生産を後押しするドナルド・トランプ氏の政策が供給増加を予感させることや、12日に石油輸出国機構(OPEC)が中国の需要予想を下方修正したことが影響している。米国の増産や需要減速の流れがつきつつある中、原油価格の今後の見通しはOPECプラスの生産量をめぐる思惑で左右されることも考えられそうだ。
WTIは一時67.75ドル 4営業日で7%超の下落
LSEGによると、WTI(WTI原油)の12日のニューヨーク市場の終値は1バレル=68.12ドル。取引時間中には67.75ドルを付け、10月30日の安値(67.28ドル)以来の低さとなった。原油価格は7日には72.88ドルをつける場面もあったが、4営業日のうちに7%超の値下がりが進んだことになる。
トランプ氏の勝利が原油安の要因に 中国の需要見通しの下方修正も
原油価格の値下がり要因として意識されているのは5日に行われた米国大統領選挙でのトランプ氏の勝利だ。トランプ氏と共和党は米国内での原油生産に積極的。選挙公約でも原油と天然ガスの世界最大の生産国になると掲げ、規制緩和を進めるとしている。米国の原油生産量増大は原油市場にとっては供給量の上積みとなって現れ、価格には下落圧力がかかることになる。
一方、原油市場では需要増加の減速も想定されている。OPECが12日に発表した月報では、2024年の石油需要について2023年よりも日量182万バレル増加するとの見通しが示された。前月の予想値(193万バレル増)からの下方修正で、需要が想定通りに増えそうにない状況を映し出している。中国の需要が45万バレル増とされ、前月の58万バレル増から大きく引き下げられたことが影響した。
米国の需要にも弱さか OPECプラスの減産縮小計画の行方にも注目
また米国の原油需要に関しては、再び弱さが感じられた。米エネルギー情報局(EIA)が6日に発表した1日時点の原油在庫(戦略備蓄除く)は1週間前から214.9万バレル増加。ロイターがまとめた市場予想の110.3万バレルを上回り、見通し以上に在庫が積みあがった。14日午前10時30分(日本時間15日午前0時30分)に発表される8日時点の在庫量に関しては6.9万バレルの増加が見込まれており、結果が上振れれば需要の弱まりが意識され、原油価格の下落要因として働きそうだ。
米国の増産の可能性が強まり、原油需要増加の減速も見込まれる中、原油相場の今後の見通しをめぐっては、OPECプラスの動向に注目が集まる。OPECプラスは3日に12月から始める予定だった加盟8か国による減産の段階的な縮小を1か月延期すると発表しており、原油価格を引き上げる狙いがあるとみられている。OPECプラスは12月1日に閣僚会合を開く予定で、減産縮小のさらなる延期や計画の撤回が決まる可能性も取りざたされており、OPECプラスの意向をめぐる要人の発言や事前報道などで相場が動くことも想定されそうだ。
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