原油価格急落 WTI一時69ドル台 対イラン攻撃は限定的な見通し
WTIは15日の取引で一時69ドル台まで急落。イスラエルのイラン攻撃が軍事施設に限られるとの報道や、需要が弱まるとの見通しが影響した。
原油価格が急落した。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は15日の取引で一時、1バレル=69ドル台をつけ、前日の高値から5ドル以上の急落。イスラエルが検討しているイラン攻撃の対象に石油や原子力に関連した施設が含まれないとの報道が原油生産への悪影響は限定的になるとの見通しを強めたためだ。また原油市場では需要の弱まりも意識されており、原油価格を押し下げる要因となっている。ただ、イスラエルの対イラン攻撃が実際に起きれば、今後、報復の連鎖が起きるとの懸念が原油価格の上昇要因として働く可能性もありそうだ。
【関連記事】原油価格は下落基調か WTI反発停止 米大統領選挙の見通しも影響?(2024年10月23日)
WTIは一時、69ドル台 前日の高値から5ドル以上の急落
LSEGによると、WTI(WTI原油)の15日の終値は前日比4.40ドル安の1バレル=70.58ドル。取引時間中には69.71ドルをつける場面もあった。前日の高値(75.08ドル)との比較では5.37ドルの急落となった。日本時間16日午前の取引では70ドル台で推移している。
イスラエルのイラン攻撃は軍事施設に限定か
15日の原油価格急落の要因となったのは中東情勢をめぐる緊張の和らぎだ。米紙ワシントン・ポストが米国東部時間14日夕方に、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相がアメリカ政府に対して、対イラン攻撃の対象は軍事施設であり、石油関連施設や原子力施設は含まれないことを伝えた、と報じたことが材料視された。
ネタニヤフ氏と米国のジョー・バイデン大統領は9日に電話で会談している。イスラエル政府はワシントン・ポストに寄せた声明で「われわれは米国の意見を聞いているが、最終的な決定はわれわれの国益に基づいて下す」としている。
原油価格の下落の背景には需要が弱まるとの見通しも
また、原油市場では需要の弱まりも意識されている。石油輸出国機構(OPEC)は14日に公表した月報の中で、2024年の石油需要について2023年よりも日量193万バレル増加するとの見通しを示した。前月の予想値(203万バレル増)からの下方修正で、原油需要が弱まっているとの見方を示した形だ。中国の需要が58万バレル増とされ、前月の65万バレル増から引き下げられたことが影響した。
さらに原油市場では米国の在庫の積み上がりも需要の弱さの表れとみられている。米エネルギー情報局(EIA)が9日に発表した10月4日時点の原油在庫(戦略備蓄除く)は4億2274万バレルで、前週から581万バレルの増加。ロイターがまとめた市場予想の204.8万バレル増を大きく上回った。17日午前10時30分(日本時間17日午後11時30分)に発表される11日時点の在庫量は前週比183.5万バレル増となる見通しで、発表数値が予想を上回れば原油価格への下押し圧力が強まる可能性がありそうだ。
ただ、中東情勢の今後の見通しは引き続き不透明。イスラエルのイランに対する攻撃が限定的であったとしても、イランによる報復攻撃の可能性が高まることは避けられない。ワシントン・ポストはイスラエルの対イラン攻撃は11月5日の米国大統領選挙前に行われるとしており、原油市場の緊張感は当面は続く見通しだといえる。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。