原油価格、上昇継続か WTIは74ドル台 中東停戦見通し不透明
WTIは日本時間9日、1バレル=74ドル台まで反発。前日はヒズボラとイスラエルの停戦期待で下落したが、中東情勢をめぐる緊張感は緩まっていない。
原油価格の上昇が治まりきっていない。原油先物市場の指標価格であるWTIは日本時間9日、1バレル=74ドル台を記録。7日につけた77ドル台からは後退しているが、下落圧力のさらなる強まりは感じられない状況だ。中東情勢をめぐっては、シーア派イスラム組織のヒズボラとイスラエルの停戦をめぐる動きに進展はなく、イスラエルによるイラン攻撃の可能性が緊張感を高めている。一方、アメリカの原油在庫は増加が予想されており、需要の弱さは原油市場の下押し圧力として働くことも考えられる。ただ、原油市場の今後の見通しには、引き続き中東情勢の影響が大きいとみられ、今後も改めて原油価格が上昇していく可能性がありそうだ。
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WTIは9日に74ドル台まで上昇 前日の4.63%安から反発
LSEGによると、WTI(翌月渡し、WTI原油)の8日のニューヨーク市場の終値は前日比4.63%安の1バレル=73.57ドル。7日の終値は77.14ドルで、8月26日(77.42ドル)以来の高値だったが、6営業日ぶりの反落となった。ただし9日の東京市場では74ドル台まで反発しており、原油価格の下落は停止している。
ヒズボラ幹部が停戦支持表明 イスラエルはイランへの報復を検討
8日の原油価格下落の要因となったのは、中東情勢をめぐる緊張の緩和だ。ロイターによると、ヒズボラのナンバー2であるナイム・カセム師は8日のテレビ演説で、レバノンの国会議長による戦闘停止への努力に支持を表明。1日のイスラエルによるレバノン南部への侵攻とイランによるイスラエルへのミサイル攻撃で緊張が高まった中東情勢が改善に向かう可能性が材料視された。
とはいえ、中東情勢の見通しが明るいわけではない。日本時間9日午前には、米ニュースサイトのアクシオスが、アメリカのジョー・バイデン大統領が9日朝にイスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相と電話会談する予定だと報道。アクシオスは米政府の話として、電話会談の目的は「イスラエルの報復攻撃に制限を設けることにある」とした。
仮にイスラエルがイランへの報復攻撃を行えば、その規模が限定的だったとしても、イランからの再報復の可能性が高まることが想定される。8日はヒズボラ側からの情報発信が緊張緩和の期待を高めたものの、引き続き、中東情勢の見通しは悪化の方向にあるといえそうだ。
アメリカの原油在庫は増加の見通し 原油価格への影響は限定的か
一方、原油市場をめぐっては需要の弱まりが材料視される可能性がある。米エネルギー情報局(EIA)が9日午前10時30分(日本時間9日午後11時30分)に発表する4日段階での原油在庫(戦略備蓄除く)は、ロイターがまとめた市場予想によると、前週比204.8万バレルの増加になる見通し。在庫の積み上がりは原油需要の弱さとして意識され、原油価格の下落圧力となる可能性がある。
ただ、米国の原油在庫は2日に発表された9月27日時点のデータでも388.9万バレルの増加となり、市場予想の130.1万バレル減少を大きく上回る積み増しとなったが、WTIの終値は0.39%高となった。パレスチナ自治区を拠点とするイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃した2023年10月7日から1年が経つ中、中東の緊張感は改めて高まっており、原油価格の上昇圧力も高まっているといえそうだ。
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