原油価格が急落 米国の雇用悪化見通しが影 WTIは7か月ぶり安値
原油の指標価格のWTIは21日に71ドル台まで下落。7か月ぶりの安値となった。ただし中東情勢悪化が原油価格を押し上げる可能性は残っている。
原油価格に下落圧力がかかっている。原油先物市場の指標価格であるWTIの21日の終値は前日比2.85%安となり、1バレル=71ドル台まで下落。1月上旬以来、7か月ぶりの安値水準となっている。21日に発表されたアメリカの就業者数の下方修正が原油需要の後退見通しを強めたことが要因だ。ただ、アメリカの原油在庫量は市場予想以上の減少をみせており、原油市場の需給がひっ迫していく筋書きも残る。中東情勢が改めて悪化するリスクも消えてはおらず、今後、原油価格が再上昇する可能性もある。
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原油価格は71ドル台まで下落 米国経済見通し悪化で
LSEGによると、WTI(WTI原油)の21日のニューヨーク市場の終値は2.85%安の1バレル=71.93ドル。4日続落の末、1月10日(71.37ドル)以来の安値となった。原油価格は8月12日には中東情勢悪化への懸念から80.06ドルをつけたが、7営業日で10.15%の下落となった。
原油価格を下押ししたのは米国経済の見通しに対する不安の高まりだ。労働省が21日に発表した就業者数の年次改定の速報値では、3月時点の就業者数が81.8万人下方修正された。米国経済が想定してきたほどは堅調ではなかったとえいる結果で、原油をはじめとするエネルギー需要の低下を連想させる材料といえる。
米国の原油在庫は予想以上に減少 原油価格上昇見通しも
ただし米国での原油需要をめぐっては底堅さを示すデータもある。エネルギー情報局(EIA)が21日に発表した、16日時点の原油在庫(戦略備蓄除く)は4億2603万バレルで、前週から465万バレル減った。ロイターがまとめた市場予想の267万バレルの減少よりも大きな低下だ。原油在庫の想定以上の減少は需要の強さを示すデータといえ、原油価格の上昇見通しを強める要因といえる。
中東情勢の緊張続く 週内にも動きか
また、パレスチナ自治区でのイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が続く中東情勢をめぐる不透明さも解消されていない。米国のアンソニー・ブリンケン国務長官は19日にイスラエルのテルアビブで記者会見し、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相が停戦に向けた米国などの仲介国による新たな提案を受け入れたと説明。「次はハマスが同じ態度をとる必要がある」と述べた。しかしロイターによると、ハマスは提案内容について反発しているもようで、停戦が実現するかどうかの見通しは定かではない。
中東情勢をめぐってはハマスを支援するイランがイスラエルへの大規模攻撃を検討していると報じられてきた。イランは現在、イスラエルとハマスの協議の進展を見守っているとみられ、停戦が実現しなかった場合には改めて、緊張感が高まるリスクがある。ブリンケン氏は20日のカタール・ドーハでの記者会見で、停戦協議の進展を「今後数日のうちに成し遂げる必要がある」としており、週内にも動きが出る可能性がありそうだ。
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