原油価格下落 WTIが69ドル台 経済見通し悪化で9か月ぶり
WTIは約9か月ぶりの低さ。米国経済への懸念が需要後退観測を強めている。原油価格は6日発表の雇用統計の影響を受けることも想定される。
原油価格が下落を続けている。原油先物市場の指標価格であるWTIは4日の終値で、1バレル=69ドル台前半まで下落。約9か月ぶりの低さとなった。値下がりは3営業日連続で、8月半ばにつけた80ドル台から10ドル超の値下がりとなっている。アメリカ経済の悪化に対する不安が、原油需要の減少につながるとの見方を強めていることが要因だ。5日に発表される米国の原油在庫量や、6日発表の8月雇用統計で米国経済の見通しが悪くなれば、原油価格の値下がりに拍車がかかることも考えられそうだ。
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WTIは69ドル台 原油需要の減少見通しで値下がり
LSEGによると、WTI(翌月渡し)の4日のニューヨーク市場での終値は、前日比1.62%安の1バレル=69.20ドル。翌月渡しの終値としては2023年12月12日(68.61ドル)以来、約9か月ぶりの低さとなった。WTIは8月30日からレイバー・デイの休日を挟んで、3営業日連続での値下がり。中東情勢の緊迫化を受けて、8月12日には80.06ドルをつける場面もあったが、3週間あまりで13.56%の下落となっている。
原油価格を下押ししているのは米国経済の悪化が原油需要を減少させるとの見通しだ。3日に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した8月の製造業の景況感指数は市場予想を下回り、WTIは前週末比4.36%安となった。4日発表の雇用動態調査(JOLTS)でも求人件数が市場予想に届かなかった。
アメリカの原油在庫の減少は緩やか WTI上昇後押し
原油需要の弱さはエネルギー情報局(EIA)が8月28日に発表した23日段階での原油在庫(戦略備蓄除く)でもみられた。在庫量は1週間前比で84.6万バレルの減少だったが、市場でみこまれていた226.5万バレル減少よりも著しく小幅で、やはり原油需要の弱まりを感じさせる内容だ。
こうした中、EIAが9月5日午前10時30分(日本時間5日午後11時30分)に発表する30日時点の在庫量でも同様の結果が出れば、原油価格には下押し圧力がかかりそうだ。ロイターがまとめた事前予想では、99.3万バレルの減少が予想されている。EIAの原油在庫は毎週水曜日の公表予定だが、レイバー・デイの休日の影響で1日遅れて発表される。
雇用統計の改善が期待外れなら原油価格下落も
一方、原油市場では供給面からの値上がり材料が出た。ロイター通信は4日、OPECプラスが10月以降に計画している減産量の段階的縮小を遅らせることを検討していると報道。OPECプラスには原油価格下落にブレーキをかける狙いがあるとみられる。OPECプラスは6月2日に、加盟8か国が2023年11月までに発表した日量216.7万バレルの追加減産を段階的に縮小すると決定。2024年10月には減産幅が日量18万バレル縮まる「増産」が実現する見通しだった。また、緊張が続く中東情勢も供給不安を想起させる値上がり材料だ。
とはいえ、こうした中でも今後発表される米国の経済指標が需要後退の見通しを強めれば、原油価格に下押し圧力がかかることは避けられない。米国経済の見通しは6日発表の8月雇用統計にも影響を受けるとみられ、市場で見込まれている失業率の改善などが期待外れに終われば、原油需要の後退懸念が強まり、原油価格の下落を加速させる可能性がある。
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