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原油価格急落 WTI、2か月ぶり68ドル エヌビディア決算で下押しも

原油価格は26日に68ドル台まで急落。米国経済への不安が投資家のリスク回避姿勢を強めている。今後の企業決算や経済指標でさらに下振れる可能性も。

原油価格急落 WTI、2か月ぶり68ドル エヌビディア決算で下押しも 出所:Adobe Images

原油価格が急落した。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は25日に1バレル=68ドル台をつけ、12月下旬以来2か月ぶりの安値を記録。アメリカの消費者心理の悪化を示すデータが経済の見通しを暗くし、投資家のリスク回避姿勢が強まった。米国では原油在庫の積み上がり傾向も続いており、需要低迷を感じさせていることも背景になっている。今後の原油価格の見通しをめぐっては、26日以降に予定されている半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の四半期決算発表や経済指標の結果次第で、さらに下落圧力がかかることも考えられそうだ。

WTIは一時、68.68ドルまで下落 2か月ぶり安値

WTI(翌月渡し、WTI原油)の25日のニューヨーク市場の終値は前日比2.50%安の1バレル=68.93ドル。ブルームバーグによると、取引時間中には68.68ドルをつけ、2024年12月23日(68.59ドル)以来の安値となった。WTIは1月、厳冬や米国のジョー・バイデン政権によるロシアに対する経済制裁強化などが材料視されて上昇し、15日には80.77ドルをつける場面もあったが、値下がり基調が鮮明となっている。

WTI(翌月渡し)の価格と主な出来事のグラフ

アメリカの消費者心理が悪化 投資家のリスク回避姿勢が強まる

25日の原油価格は投資家のリスク回避姿勢の強まりが影響した。米調査会社コンファレンス・ボードが発表した2月の米消費者信頼感指数は98.3まで低下し、2024年6月(97.8)以来の低さ。ブルームバーグがまとめた市場予想の102.5を大きく下回り、消費者心理の悪さが経済活動の低下につながるシナリオが意識された。ドナルド・トランプ大統領の高関税政策などで経済の見通しが悪くなっていることが影響している可能性があり、株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)が4営業日続落の0.47%安となっている。

アメリカの消費者信頼感指数の推移のグラフ

原油の在庫量は予想を超える上積みが続く 低調な需要を反映か

米国経済の見通しの悪さは原油在庫のデータからも感じられる。米エネルギー情報局(EIA)が20日に発表した14日段階での原油在庫量(戦略備蓄除く)は1週間前比で463.3万バレルの増加。ブルームバーグがまとめた市場予想の300万バレル増を上回る在庫の積み上がりとなった。原油在庫量は4週連続で予想を超える増加が続いており、原油への需要が想定以上に弱まっているもようだ。EIAが26日午前10時30分(日本時間27日午前0時30分)に発表する21日段階での在庫量は、1週間前比で240万バレルの増加になると見込まれている。

アメリカの原油在庫量の推移のグラフ

また、原油市場を供給面からみると、トランプ氏が米国内での原油増産を打ち出しているうえ、ウクライナ情勢をめぐる米国とロシアの直接協議はロシアに対する経済制裁の緩和を連想させて、原油安圧力として働いている。一方、サウジアラビアやロシアなどで作るOPECプラスが計画している4月からの段階的な増産は4度目の延期が検討されていると報じられており、原油価格を押し上げる可能性がある要因だ。ただ、現状では正式な発表はなく、原油価格の上昇期待を強めるには至っていない。

エヌビディア決算が期待外れなら投資家心理は悪化か 米国経済の見通しに不安 

こうした中、原油価格の今後の見通しをめぐっては、投資家心理の悪化が下落要因として意識されそうだ。26日に行われるエヌビディアの2024年11月-2025年1月期決算発表が投資家の期待に応えられなければ、人工知能(AI)ブームに沸いてきた米国の株式市場のムードが一変する可能性もあり、投資家のリスク回避姿勢は強まりそうだ。また、27日の2024年10-12月期GDP改定値や28日の1月個人消費支出(PCE)物価指数の発表が、米国経済の見通しを悪化させることも想定される。

ブルームバーグによると、WTIの2023年以降の安値は2023年5月4日の取引時間中につけた1バレル=63.64ドル。終値では世界経済の見通し不安が材料視された2024年9月10日の65.75ドルとなる。26日以降の投資家心理の変化次第では、原油価格が大きな下落に見舞われる余地が残っていそうだ。


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