原油価格、反発 WTIは71ドル台に ウクライナ情勢は見通しを下押し
WTIの18日の終値は71.85ドル。OPECプラスの増産延期検討報道が影響した。一方、ウクライナ情勢に関する米露の直接協議は価格下押し要因だ。
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原油価格が反発した。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は18日の終値で1バレル=71ドル台後半をつけ、約1週間ぶりの高値となった。サウジアラビアとロシアが主導するOPECプラスが4月から行う段階的な増産の延期を検討していると報じられたことが要因だ。ただ、ウクライナ情勢をめぐってはアメリカがロシアとの正式協議を始めており、ロシアに対する経済制裁が緩和されるとの思惑が原油価格を下押ししている。原油需要の弱まりも予感される中、原油価格の今後の見通しには下落圧力がかかり続けそうだ。
WTIは71.85ドルまで急反発 OPECプラスの段階的増産の延期報道で
WTI(翌月渡し、WTI原油)の18日のニューヨーク市場の終値は前日比1.57%高の1バレル=71.85ドル。11日につけた73.32ドル以来の高値となった。ブルームバーグによると、WTIは日本時間の17日午前には70.12ドルをつけ、2024年12月30日(70.12ドル)以来の安さとなっていたが、一気に反発が進んだ形だ。
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原油価格が上昇したきっかけは産油国による原油増産が進まないとの見通しが出たことだ。ブルームバーグは日本時間の17日夜、OPECプラス参加国の話として、4月からの実施が予定されている8か国による段階的な増産の延期が検討されていると報じた。原油価格が下落基調にあることを踏まえ、価格をさらに下落させる可能性がある増産を先延ばしにする狙いがあるとみられる。
OPECプラスは2024年6月に日量220万バレル程度の増産を段階的に進める方針を決定。しかし実施は当初予定されていた2024年10月から、3度にわたって延期されてきた。当初は原油価格下落を容認してでも増産を進め、市場シェアを確保する狙いがあるともみられていたが、参加国の足並みはそろっていないようだ。
アメリカとロシアがウクライナ情勢めぐり直接協議 原油価格下落要因
ただ、原油市場には新たな価格下落要因も浮上している。米国とロシアはサウジアラビアの首都リヤドでウクライナ情勢に関する外相級の協議を実施。米国のマルコ・ルビオ国務長官は終了後、「ウクライナにおける紛争を、継続的かつ、すべての当事国に受け入れ可能な方法で終わらせる」ことを目的とした、米国とロシアの高官グループによる協議を始めることなどを明かした。
今回の外相級協議はドナルド・トランプ政権としてロシアとの直接協議に乗り出すことが正式に示された形。ジョー・バイデン前大統領が退任間際まで進めてきたロシアの石油産業に対する経済制裁強化が緩和される見通しも出てきた。WTIはトランプ氏が12日にロシアのウラジミール・プーチン大統領と電話で話したと明かした際、一時、1バレル=70.22ドルまで下落していた。
原油需要にも弱さ 原油価格への下落圧力は続く見通し
また、原油需要も弱まっている可能性がある。米エネルギー情報局(EIA)が12日に発表した7日段階での原油在庫(戦略備蓄除く)は1週間前比で407万バレルの増加。ロイターがまとめた市場予想の230.5万バレル増加を上回る在庫の積み増しとなった。EIAは20日午前10時30分(日本時間21日午前0時30分)に14日時点の在庫量を発表する予定だ。
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さらにOPECが12日に発表した2月の月報は、2025年の石油需要の見通しについて日量1億0520万バレルとし、1月月報の水準を維持。ただし中国の需要は日量1698万バレルとされ、1月月報から7万バレル下方修正された。
WTIは2024年12月5日にOPECプラスによる3度目の増産延期が発表された後、1バレル=80ドル台まで上昇する場面もあったが、トランプ氏の就任以降は改めて下落圧力が強まっている。トランプ氏は原油価格引き下げを目指すと公言しているだけに、今後の原油価格の見通しをめぐっても値下がり方向の材料が提供される可能性がありそうだ。
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