原油価格、見通しは下落か WTI、73ドル台に反発 ロシア情勢注目
WTIは反発が続き、73ドル台まで上昇。一方、2025年の原油増産見通しは続いており、ロシア情勢の進展でも下落圧力が増す可能性もある。

原油価格が反発している。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)の11日の終値は1バレル=73.32ドル。前週には70ドル台前半まで値下がりする場面もあったが、買い戻しが進んでいる。ロシアの1月の原油生産量がOPECプラスの割り当て分よりも低くなったと報じられたことが材料視されているもようだ。ただし原油需要をめぐっては2025年は生産増が進むとみられており、原油価格の今後の見通しには下押し圧力がかかりやすい状態。OPECが12日に発表する月報や、ロシア情勢をめぐるアメリカのドナルド・トランプ大統領の言動も、原油価格を押し下げる材料となる可能性がある。
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WTIは73ドル台に反発 ロシアの原油生産量減少を材料視
WTI(翌月渡し、WTI原油)の11日のニューヨーク市場の終値は前日比1.38%高の1バレル=73.32ドル。3日連続での値上がりで合計3.84%高となった。原油価格は6日には70.43ドルをつけ、2024年12月30日の安値(70.12ドル)以来の低水準となる場面もあったが、反発が進んでいる形だ。

足元での値上がりの背景にはロシアの原油生産が減少しているとの見方がある。ブルームバーグは日本時間10日、関係者の話として、ロシアの1月の原油生産が日量896.2万バレルだったと報道。OPECプラスでの合意で定められた日量897.8万バレルを下回ったとしている。米国のジョー・バイデン前政権が1月10日に発表した、ロシアの石油輸出阻止をねらった経済制裁の効果が出始めているとすれば、原油供給の減少見通しを強める価格上昇材料だといえる。
EIAは石油生産量見通しを上方修正 アメリカの在庫量は積み増しか
ただし原油市場の見通しをめぐっては、2025年は増産が進むとの見方も根強く、原油価格を押し下げる要因となっている。米エネルギー情報局(EIA)が11日に発表した短期エネルギー見通し(STEO)では、2025年の世界の石油生産量は日量1億0460万バレルと予想され、前回(1月時点)の予想から0.2%上方修正された。EIAはSTEOの中で米国政府のロシア制裁について、「原油生産の予想に大きな影響を与えることは想定していない」としている。
また、米国の原油需要に関しては、弱まりが示される可能性もあり、やはり原油価格への下落圧力となりえる。EIAが12日午前10時30分(日本時間13日午前0時30分)に発表する2月7日時点の原油在庫量(戦略備蓄除く)は、ブルームバーグがまとめた市場予想によると、1週間前比230.5万バレル増加となる見通し。原油在庫はこれまで2週連続で在庫の上積みが進んでおり、9週連続で進んだ在庫減少の流れが反転している。さらにOPECは12日に2月月報を発表する予定で、原油需要見通しが下方修正されれば、やはり原油価格に下押し圧力がかかることも想定される。

ロシア情勢をめぐるトランプ氏の動向も原油価格に影響する可能性
このためロシアの原油生産減少を材料視した原油価格上昇は長続きしない可能性もある。ウクライナとの戦争を続けるロシアをめぐっては、トランプ氏がプーチン大統領と接触していると報じられており、14-16日にドイツで開かれるミュンヘン安全保障会議に際してのトランプ政権の動向にも注目が集まる。トランプ氏は原油価格の引き下げで米国の物価上昇を抑えるとの立場も強調しており、ロシア情勢をめぐる動きが原油市場で価格下落の材料と受け止められることも考えられそうだ。
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