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日経平均、年内高値更新が射程圏 円高一服 S&P500は8週連騰

日経平均は大納会までのバブル後最高値が視野。円高一服が追い風だ。S&P500も史上最高値目前だが、もたつきもみられる。

出所:ブルームバーグ

日経平均株価の年内の記録更新が射程圏内に入っている。日経平均の22日の終値は1週間前比で約200円高。7月初めにつけたバブル後最高値まであと600円弱の水準まで回復した。外国為替市場での円高進行が一服したためで、日本株のムードが上向いている。一方、アメリカの株式市場でもS&P500種株価指数が8週連続の上昇を記録。22日に物価上昇減速を示す経済指標が発表されたことが好感された。ただし日米の株価の値上がりにはもろさも感じられ、なお曲折も予想される。

日経平均はバブル後最高値まであと584.28円

日経平均(N225)の22日の終値は1週間前比198.50円高の3万3169.05円。29日の大納会までにあと584.28円上昇すれば、7月3日の終値ベースでのバブル後最高値(3万3753.33円)に達する。週次での600円超の上昇は2023年下半期でこれまでに7回あり、達成可能といえる水準だ。日経平均は11月24日で終わった週にもバブル後最高値まであと130円弱に迫っており、2023年最後の週で記録更新に改めてチャレンジする形になる。

日経平均株価と週次での増減幅の推移のグラフ

日経平均を元気づかせたのは円高の減速だ。ドル円相場(USD/JPY)の22日のニューヨーク市場での終値は1ドル=142.41円。12月6日から14日にかけて、147円台から141円台に急進した円高ドル安が休止した形だ。円高は日本銀行の植田和男総裁が7日に口にした「チャレンジング」発言がきっかけだったが、日銀は19日にマイナス金利解除を見送り、円高圧力が弱まった。円高は日本の輸出企業の採算悪化を懸念させるだけに、株式市場には安心感が広がっている。

アメリカのS&P500は史上最高値まであと0.88%

また、株式市場のムードは米国でも明るくなっている。22日のS&P500(SPX)の終値は前日比0.17%高。1週間前比では0.75%高の4754.63となり、2022年1月3日の史上最高値(4796.56)まであと0.88%になっている。週次での上昇は8週連続で、2017年9月中旬から11月初めにかけて以来の記録だ。

日経平均とS&P500の週次での騰落率の推移のグラフ

S&P500の上昇は22日発表の11月の個人消費支出(PCE)物価指数で物価上昇の減速が確認されたことでも後押しされた。米国経済が物価上昇抑制と景気後退回避を両立させる軟着陸(ソフトランディング)を達成する可能性が高まったためだ。

PCE物価指数は前月比では2020年4月以来のマイナス

11月PCE物価指数の伸び率は、総合指数で前年同月比2.6%となり、2021年2月の1.9%以来の低水準。食品とエネルギーを除いたコア指数でも3.2%となり、2021年4月(3.2%)以来の低さだ。いずれも市場予想を下回り、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が13日の記者会見で示した見通しともほぼ一致している。また、11月の指数を前月比でみた伸び率は、総合指数でマイナス0.1%となり、2020年4月以来の物価下落となった。

アメリカのPCE物価指数の伸び率の推移

ただし日米の株価は記録更新を目前にしたもたつきも感じられる。S&P500は19日の終値で史上最高値まで0.59%に迫っていたが、翌20日は午後に入ってから急落し、前日比1.5%安に終わった。このショックは日本市場にも及び、21日の日経平均は535円安となり、バブル後最高値まで約77円になっていた前日の水準から大きく後退した。

日経平均にとっての不安材料である円高も完全に進行がストップしたわけではない。年内に記録更新が実現したとしても、日銀のマイナス金利解除が引き続き焦点となる2024年の株価の先行きが晴れ渡っているとはいえなさそうだ。


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