マイナス金利解除の時期は? 2024年春が有力 円高再び141円
22日のドル円相場は一時141円台を記録。日銀が来年春にはマイナス金利解除を決めるとの観測も背景のひとつだ。
金融市場で日本銀行が2024年春にもマイナス金利政策を解除するとの観測が強まっている。植田和男総裁は19日の金融政策決定会合後の記者会見で早期の解除は口にしなかったものの、賃上げと物価上昇の好循環の実現には手ごたえを感じているもよう。来年の春闘の結果を見極めて、解除につなげるとの見方が有力だ。ドル円相場は決定会合後に一時、144円台後半まで円安方向に振れたが、22日には再び141円台をつけた。ただし日本の物価上昇はすでに弱まっている側面もあり、すんなりとは解除に至らない可能性もある。
2024年4月までのマイナス金利解除の確率は62%
日銀はマイナス金利政策のもとで、銀行が日銀に預けている当座預金の一部にマイナスの金利を課している。銀行が日銀に資金を預けるのではなく、企業や家計への融資に資金を振り向けるようになると期待されている。LSEGのデータによると、金融市場では、現在マイナス0.1%に設定されている金利が2024年3月の決定会合までに引き上げられている確率は43%程度、4月会合までの引き上げの確率は62%程度あると見込まれている。
植田氏は19日の記者会見で、自身の国会での「チャレンジング」発言がマイナス金利政策の早期解除観測を強めたことについて、「(総裁就任)2年目にかかるところですので、一段と気を引き締めてというつもり」での発言だった説明した。国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と述べたことが注目を集めたが、早期解除の示唆を意図したものではないと釈明した形だ。
植田氏はマイナス金利解除に前向き?
ただし植田氏は19日の記者会見で日銀が目指す賃金上昇を伴いつつ物価上昇率が安定的に2%で推移する状況の達成について「確度は少しずつ上がってきている」とも述べた。民間からは2024年の春闘での賃上げが2023年を上回るとの予想も出ている。第一生命経済研究所の熊野英生氏は20日付のレポートで、「(植田氏は)緩和修正には前向きなのだ。思わせぶりな発言を否定しながらも、少しずつ前進する戦略なのだろう」と分析。解除のタイミングは「4月が濃厚」としている。
こうした中、22日の東京市場のドル円相場(USD/JPY)は1ドル=141.87円をつける場面も出た。19日には植田氏がマイナス金利の早期解除を否定したことを受け、一時144.95円をつけていたが、改めて円高圧力が復活している。21日に発表されたアメリカの2023年7-9月期GDP確定値の実質成長率が前期比年率4.9%となり、改定値(5.2%)から下方修正されたこともドル安効果を生んだ。
11月のCPIの伸び率はコア指数で2.5%
一方、日本の経済動向をめぐっては日銀の目標達成の確度を疑わせる数字も出ている。総務省が22日に発表した11月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数で前年同月比2.8%、生鮮食品を除くコア指数で2.5%だった。いずれも2022年7月以来の低水準だ。コア指数からエネルギー価格も除いたコアコア指数の伸び率は3.8%で、こちらも8か月ぶりの低さとなった。日銀の10月決定会合での議論では、人件費の上昇分を販売価格に上乗せすることが難しいとする声が企業から聞かれているといった意見も出ている。
日銀がマイナス金利解除を見据えていることは間違いないが、実際に解除に至る環境が整うかどうかには不透明さが残る。25日に予定されている植田氏の講演や、27日に公表される12月決定会合での主な意見などを通じて明らかになる日銀の方向性が、ドル円相場を動かす局面も想定されそうだ。
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