日銀のマイナス金利解除に障害 12月サービス物価加速せず 円安進行
日本の12月消費者物価指数(CPI)は物価上昇が減速。日銀の植田和男総裁の23日の記者会見での発言に注目が集まる。
日本銀行のマイナス金利解除に向けた道のりが険しくなっている。19日に発表された12月消費者物価指数(CPI)は物価上昇の減速を示す結果。日銀が賃上げと物価上昇の好循環実現へのステップとして重要視するサービス物価の上昇でも前進がみられなかった。19日のドル円相場は円安で反応し、1ドル=148円台で取引されている。アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)による利下げへの期待の後退も円安要因になっているもようだ。日銀の植田和男総裁の23日の記者会見がさらなる円安要因として働く可能性も考えられる。
日本の12月CPIは総合指数の伸び率が2.3%まで減速
12月CPIの伸び率は、総合指数が前年同月比2.6%で、11月の2.8%から物価上昇のペースが弱まった。生鮮食品を除いたコア指数は2.3%で、やはり11月(2.5%)から減速。生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数は3.7%で、こちらも11月(3.8%)から低くなっている。
12月CPIの伸び率をサービスとモノに分けてみると、サービスの物価の上昇率は2.3%で、11月から横ばい。サービスの物価の上昇率は10月、11月の2か月連続で伸びていたが、流れが止まった。11月同様に宿泊料と携帯電話料金が主な押し上げ要因となっているが、すそ野の広がりは感じられない。また、モノの物価の上昇率は2.8%で、11月(3.3%)から下落。2021年10月(1.9%)以来の低さとなった。
サービス物価の伸び悩みは賃上げと物価上昇の好循環を目指す日銀にとっては期待外れの結果だといえる。植田氏は12月27日放送のNHKのインタビューで、「(賃金が)どれぐらいサービス価格に反映されるかという点をみたい」と述べていたからだ。12月CPIの結果を、企業が人件費の増加分を価格に転嫁することをためらっていることの証だととらえれば、日銀のマイナス金利解除は難しくなったとの見方が成り立つ。
ドル円相場は2週間あまりで8円近くの円安が進行
こうした中、19日の東京市場のドル円相場(USD/JPY)は円安に振れ、一時、1ドル=148.47円をつけた。18日のニューヨーク市場の終値からは0.32円の円安ドル高にあたる水準だ。ドル円相場は2日には140.80円をつける場面もあっただけに、2週間あまりで8円近くの円安が進んでいる。
ドル円相場での急速な円安の背景には、FRBが3月にも利下げに踏み切るとの観測の後退もある。17日発表の米国の12月の小売売上高は市場予想を上回る伸びで、米国の物価上昇圧力の強さを印象づけた。CMEグループのデータによると、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に政策金利が現状よりも低くなっていることについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間19日正午すぎの段階で55%程度。前週までの70%台から大きく下がっている。
日銀が22、23日に開く金融政策決定会合では、マイナス金利の解除は行われない見通し。植田氏が記者会見で物価上昇の継続性に弱気な見方を示すなどすれば、さらなる円安圧力として働く筋書きも想定されそうだ。
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