日経平均、バブル後最高値更新も 米金利低下追い風 S&P500上昇
日経平均は7月のバブル後最高値まであと168円。S&P500も年初来高値更新が間近で、ムードが明るくなっている。
日経平均株価の上昇が勢いづいている。17日の終値は9月につけた直近の高値を超え、7月初めのバブル後最高値まであと168円という水準だ。背景にあるのはアメリカの長期金利(10年物米国債利回り)低下を背景にした米株高。S&P500種株価指数も年初来高値の更新が視野に入る水準になっている。米国経済をめぐっては物価上昇や政治の混乱といった課題が改善しており、投資家心理が明るくなってきた。ただ、物価上昇が沈静化していったとしても、次は景気後退リスクが課題として浮上するおそれもあり、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の21日の決算発表にも注目が集まりそうだ。
日経平均はバブル後最高値まであと168円
日経平均(N225)の17日の終値は1週間前比1017.09円高の3万3585.20円。7月3日につけた終値ベースでのバブル後最高値(3万3753.33円)が目前となっている。日経平均は9月15日にも3万3533.09円まで値上がりしていたが、その後は米国株の下落とあわせて値下がりしただけに、今回はバブル後最高値更新の再チャレンジとなる。
今回の日経平均の上昇は米国の株高に裏付けられている。17日のS&P500(SPX)の終値は1週間前比2.24%高の4514.02。こちらも7月31日につけた年初来高値(4588.96)の更新が近づいた。要因は、米国の株価上昇の足かせとなってきた長期金利の高さが和らいでいることだ。17日のニューヨーク債券市場の終値は4.441%で、前日から0.004%ポイントの減少だった。長期金利は10月23日には一時5.021%まで上がる場面もあっただけに、金利高が株式の投資先としての魅力を相対的に薄れさせて株安になるという悲観ムードが後退している。
アメリカの経済過熱感の後退が株式市場に安心感
米国の長期金利低下の背景にあるのは、3日に発表された10月の雇用統計や14日発表の10月の消費者物価指数(CPI)で示された経済の過熱感の和らぎだ。なかでもCPIの伸び率が市場予想を下回ったことは、物価上昇の沈静化を目指す連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを打ち止めにするとの観測の確度を高めており、投資家を安心させている。
また、ジョー・バイデン大統領は16日、上下両院で15日までに可決された、政府機関一部閉鎖を回避するための新たなつなぎ予算法案に署名した。農業やエネルギーなどに関連する一部の機関や業務に関しては2024年1月19日まで、その他の機関などについては2月2日までの予算を確保する内容だ。これまでのつなぎ予算が期限切れとなり、政府機関の一部閉鎖が現実になれば、米国債が売られて長期金利が上昇する事態につながりかねなかった。
エヌビディアやオープンAIの成長は続くか?
今後も物価上昇が沈静化していった場合は、米国の株式市場にとっても追い風が続くことになる。ただ、次は景気後退リスクが不安要因として材料視されることも想定されそうだ。16日には小売大手のウォルマート(WMT)のジョン・レイニーCFOが2023年8-10月期決算会見で、10月下旬以降の売り上げに波があることを指摘し、「90日前に比べて、消費者の動向をやや慎重にみている」と述べたことが株式市場の足を引っ張った。
こうした中で21日にはエヌビディア(NVDA)が8-10月期決算を発表する。エヌビディアは人工知能(AI)開発向けの半導体で強みを持ち、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる米国のハイテク銘柄の好調さを象徴する企業だけに、業績の結果や見通しへの評価が株式市場全体のムードを左右する可能性がある。
また、17日には生成系AIサービス「ChatGPT」で世界を驚かせたOpenAI(オープンAI)社が、サム・アルトマンCEOが退任し、ミラ・ムラティ最高技術責任者(CTO)が暫定CEOに就くと発表。アルトマン氏退任に至る経緯として「アルトマン氏は取締役会とのコミュニケーションにおいて一貫して率直ではなく、取締役会が責任を果たすことを難しくしている」などとしており、経営に関わるトラブルがあったもようだ。オープンAIに出資するマイクロソフト(MSFT)の株価への影響も懸念される。
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