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さらに高みを目指すムードのS&P500 焦点は米雇用統計 目先の見通し

S&P500種株価指数(SPX)は、連日で最高値を更新している。アメリカ長期金利の上昇は抑制されている。エヌビディアの調整相場を他のマグニフィセント銘柄がカバーしている状況も考えるならば、S&P500指数はIG米国株レポートで注目している5,580レベルのトライを意識する状況にある。反落してもその幅は限定的となる可能性が高いだろう。今日は6月の雇用統計で上下に振れる展開が予想される。注目のチャート水準は?

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この記事のポイント

・反発の局面が見られた米長期金利だったが、今は上昇が抑制されている
・エヌビディアの失速をマグニフィセント「6」がカバーしている
・S&P500指数は調整相場を警戒も、トレンドの軸は上値トライにある
・S&P500指数の上昇局面では、3つの上値水準の攻防に注目したい


S&P500指数、目先の見通し

S&P500種株価指数(SPX、以下ではS&P500指数)は2日、レジスタンスとして相場の上昇を止め続けた5,500の水準を日足ローソク足の実体ベースで完全に上方ブレイクした。

そして3日の短縮市場では5,500ポイントを維持し、この水準の「サポート転換」が確認された。

日足のストキャスティクスとRSIはともに買われ過ぎの水準へ到達している(下の日足チャート、赤矢印を参照)。ゆえに、調整の反落を警戒する必要があろう。

しかし、上で述べた5,500ポイントの攻防、そして下で述べるアメリカの長期金利と主力株の動向も考えるならば、S&P500指数が下値をトライしても、その幅は限定的となることが予想される。

目先は5,500ポイントの維持、または10日線(3日時点5,479レベル、日足チャートの青ラインを参照)で反発する展開を予想する。

一方、S&P500指数が上昇トレンドを維持する場合は、IG米国株レポートで注目しているフィボナッチ・エクステンション100%の水準「5,580」を視野に上昇幅の拡大を予想する。

この水準(5,580)を目指すシグナルとして、まずは3日の高値5,539レベルのブレイクアウトに注目したい。

2日と3日の上昇幅が約30ポイントであることを考えるならば、次のレジスタンスポイントを5,570前後と想定しておきたい(3日の終値5,537レベルから30ポイント上の水準)。

S&P500指数がこの水準(5,570)を上方ブレイクする場合は、5,580トライのシグナルとなろう。

S&P500種株価指数のチャート:日足 今年4月以降

S&P500種株価指数のチャート:日足 今年4月以降

出所:TradingView


S&P500、注目のチャート水準

S&P500、注目のチャート水準

出所:TradingView


上昇が抑制されるアメリカの長期金利

アメリカ株式市場のトレンドにに大きな影響を与えるのが、10年債利回り(以下では長期金利)の動向である。その長期金利は6月28日から7月1日にかけて4.5%手前まで上昇する局面が見られた(下のチャート、赤ゾーンを参照)。アメリカ大統領選挙に向けた第1回テレビ討論でトランプ候補有利と見込んだ投資家が米国債を売ったとの指摘がある。

11月のアメリカ大統領選挙に向けて、今後アメリカの長期金利がどのようなトレンドとなるのか?については、新たな報道、特にトランプ候補優勢の内容を伝える報道に対して、長期金利が上昇で反応するのかどうか?を逐一チェックする必要があろう。

アメリカの長期金利が上昇した先月の28日に、S&P500指数(SPX)やナスダック100(NDX)が下落したことを考えるならば、トランプ候補が掲げる政策-減税、移民対策そして対中関税はいずれもインフレの再燃と財政悪化の可能性を市場参加者に意識させる可能性があろう。

しかし、短期的には経済指標がアメリカ長期金利のトレンドを左右するだろう。事実、今週に入り発表された6月のISM製造業・非製造業景気指数、そして同月のADP雇用統計が市場予想を下回ったことを受け、アメリカの長期金利は再び低下している(下のチャートを参照)。

アメリカの長期金利が低下へ転じると、S&P500指数は連日で最高値を更新した。これら一連の動きを考えるならば、今日も米長期金利の動きがS&P500指数のトレンドを左右する展開が予想される。

アメリカ長期金利のチャート:45分足 6月28日以降

アメリカ長期金利のチャート:45分足 6月28日以降

出所:TradingView


マグニフィセント「6」が支える米株高

アメリカの長期金利だけでなく、今は主力株も株式市場を支えている。それがエヌビディア(NVDA)を除いたマグニフィセント「6」である。

こちらのIG米国株レポートで述べたとおり、その筆頭が電気自動車大手のテスラ(TSLA)である。6月にエヌビディアの調整ムードが高まったのとは対照的に、テスラの株価は38%上昇している(6月から7月3日までの動向)。

決算でテスラの成長に対する懸念が後退したわけではない。ゆえに、7月23日に予定されている第2四半期の決算が投資家の失望を誘う結果となれば、今の動きは短期で終息するだろう。

テスラ、エヌビディア、株価指数のパフォーマンス:6月以降

テスラ、エヌビディア、株価指数のパフォーマンス:6月以降 ブルームバーグの株価データで筆者が作成

※チャート画像を修正しました(7月6日9時)

しかし、今はテスラだけでなく、アップル(AAPL)やアマゾン(AMZN)など他のマグニフィセント銘柄も、エヌビディアの調整相場をカバーするかのように6月の後半以降、上昇幅がじわりと拡大している。

アメリカの長期金利が低下基調を維持する場合は、これらマグニフィセント「6」の追い風となろう。エヌビディアの下支え要因にもなり得る。ゆえに、今はアメリカ長期金利の動きを常に注視しておきたい。

他のマグニフィセント銘柄と株価指数のパフォーマンス:6月以降

他のマグニフィセント銘柄と株価指数のパフォーマンス:6月以降 ブルームバーグの株価データで筆者が作成

今日の注目材料は6月の米雇用統計

本日、アメリカ長期金利のトレンドを左右するのが6月の米雇用統計となろう。こちらのIG為替レポートで指摘したとおり、雇用統計の数字が示すほどアメリカの労働市場は必ずしも堅調とは言えない側面がある。

しかし、非農業部門雇用者数をはじめとした見た目の数字が予想以上ならば、長期金利の上昇要因となることが予想される。このケースでは株安を想定しておきたい。S&P500指数(SPX)は、上で述べた5,500の維持が焦点となろう。この状況が確認される場合は、来週以降も上昇トレンドを維持する公算が大きくなろう。

米連邦準備制度理事会(FRB)が注目する物価指数、個人消費支出(PCE)価格指数では前年同期比のコア指数が2.6%まで鈍化している。一方、市場が注目している消費者物価指数(CPI)のコア指数もインフレが鈍化の傾向にあることを示唆している(5月は前年同期比で3.4%まで鈍化した)。

インフレが鈍化の傾向にあるなか、6月の雇用統計で労働市場の軟化が確認される場合は、米長期金利の低下要因となることが予想される。S&P500指数は3日の高値5,539レベルを突破、そして終値ベースで最高値を更新する展開を想定しておきたい。

アメリカ雇用統計 各項目の動向:23年6月以降

アメリカ雇用統計 各項目の動向:23年6月以降 ブルームバーグで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:6月の市場予想

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