米国株に金利リスク 製造業拡大でS&P500下落 ハイテク株は堅調
アメリカのS&P500が3営業日ぶり下落。製造業の好調さで利下げ期待が後退したためだが、ハイテク株などの堅調さが今後に期待をつないだ。
アメリカの株式市場で金利高リスクが意識された。S&P500種株価指数の1日の終値は前週末比0.20%安で、3営業日ぶりの下落。長期金利(10年物米国債利回り)が4.3%台まで上昇したことが嫌気された。金利高の要因は、製造業の景況感を示す経済指標が1年6か月ぶりの高さとなり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが遠のくとの観測が広がったことだ。ただ、米国経済の強さは企業業績にとっては追い風で、1日は大手ハイテク株や半導体株は堅調だった。5日発表の雇用統計や今後発表される企業決算の内容次第で、S&P500の先行きが明るくなる可能性もありそうだ。
アメリカのS&P500は金利高で3営業日ぶり下落
1日のS&P500(SPX)の終値は5243.77で、3連休前の3月28日から10.58ポイント下落した。ニューヨーク債券市場での長期金利の1日の終値が4.329%となり、28日から0.135ポイントも上昇したことが悪材料になった。長期金利の上げ幅は2月13日(0.146ポイント)以来の大きさだ。
長期金利上昇のきっかけは、米サプライマネジメント協会(ISM)が1日に発表した3月の製造業景況感指数が50.3となったこと。ISMの景況感指数は50を超えていれば製造業が拡大していることを示すとされ、3月は2022年9月(51.0)以来の拡大領域となった。ISMは製造業拡大の理由について、新規受注が上向き、輸出向けの受注も2か月連続で好調だったことを背景に、企業の生産活動が改善したなどと説明している。
こうした中、金融市場ではFRBの利下げに対する期待が後退した。CMEグループによると、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に政策金利が現状よりも低くなっていることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間2日午前9時30分ごろの段階で約57%となった。前日朝の約68%から、11%ポイント程度低下した形だ。製造業をめぐる需要の強さが物価上昇につながれば、FRBが利下げを決断しづらくなる可能性が意識された。
アルファベットやマイクロソフトなどは値上がり
しかし、1日の金利高はS&P500の大崩れにはつながらなかった。米国の株高の原動力となってきた大手ハイテク株の中では、グーグルなどを傘下に持つアルファベット(GOOGL)が3.02%高と好調。SNS大手のメタ・プラットフォームズ(META)も1.19%高となった。人工知能(AI)サービスの成長性が期待されているマイクロソフト(MSFT)も0.92%高と堅調だった。半導体株では、NVIDIA(エヌビディア、NVDA)は0.01%高どまりだったものの、ブロードコム(AVGO)やアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)などは1%台後半の値上がりを記録している。
FRBのジェローム・パウエル議長は3月29日のイベントで利下げを急ぐ必要はないとの立場を強調しており、今後も金利高がS&P500にとって逆風になる可能性がある。一方、製造業の堅調さは、5日に発表される3月雇用統計やこれから発表される企業の1-3月期決算や見通しを改善さえる要因なだけに、S&P500にとって悪材料とばかりはいえない。
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