日経平均に円安効果続かず 上昇一服、2週ぶり下落 半導体株頭打ち
日経平均は記録的な上昇が一服。アメリカのPCE物価指数は予想通りの結果で、FRBは利下げを急がない方針を強調した。
日経平均株価の上昇に再びブレーキがかかった。29日の終値は1週間前比518.99円安で、2週ぶりの下落。相場を牽引してきた半導体株の上昇も頭打ちの懸念が出ている。前週に相場を明るくした円安基調は崩れていないが、日経平均を押し上げる効果は続かなかった形だ。またアメリカの株式市場ではS&P500種株価指数の上昇ペースが鈍化。29日発表の個人消費支出(PCE)物価指数は予想通りの結果で、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は利下げを急がないとの立場を強調した。経済状況に想定外の変化が出ない中、今後は企業業績への注目度が高まっていきそうだ。
日経平均は4万円台維持も、週次で518.99円下落
日経平均(SPX)の29日の終値は4万0369.44円。前週に記録した2180円高という記録的な上昇から一転し、2週ぶりの下落に見舞われた。3月の値上がり幅は1203.25円で、好調な数字ではあるが、1月の2822円高や2月の2879円高と比べれば、値上がりの勢いはスローダウンしたともいえる。
3月の日経平均は、月初めにドル円相場(USD/JPY)で1ドル=146円台まで円高が進行して日経平均の重荷になったほか、アメリカの2月雇用統計で失業率の高まりがみられた後は、半導体株の上昇の勢いが失われた。その後、19日に日本銀行が大規模金融緩和策の終了と当面は緩和的な金融環境が続くとの方向性を打ち出すと、151円台後半まで円安が進行。日経平均の4万円台定着につながったが、4万1000円台まで値を伸ばすことはできなかった。
2月PCE物価は予想通りの結果に
一方、米国の株式市場も勢いを欠いている。グッド・フライデーの休場日の前日で、週最後の取引日だった28日のS&P500(SPX)の終値は5254.35で、前週末比0.39%高。20日に連邦準備制度理事会(FRB)が年内3回の利下げの方向性を維持し、株式市場に安心感を与えた後としては小幅な上昇だった。半導体大手NVIDA(エヌビディア、NVDA)は1週間で4.17%安。ブロードコム(AVGO)や半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も2%前後の値下がりとなっている。
こうした中、29日に発表された2月のPCE物価指数は、総合指数の伸び率が前年同月比2.5%、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2.8%で、いずれも事前予想通りの結果だった。1月(改定値)は総合指数が2.4%、コア指数が2.9%だったため、物価上昇は総合指数では加速、コア指数では減速したことになる。
FRBのジェローム・パウエル議長は29日にサンフランシスコ連銀のイベントに登壇し、PCE物価について「予想に沿った結果を目にすることは良いことだ」と述べた。そのうえで、経済成長や労働市場は強く、物価上昇率は下がってきているとの現状分析を示し、今後の利下げ時期について「急ぐ必要はない」との見方を示した。
米国経済の堅調さは株式相場にとっての好材料だが、利下げへの期待が膨らまないことは株価への重石が外れないことも意味しそうだ。ただ、日経平均にとっては、円安基調が続く要因になるともいえ、安心感につながる。今後の値動きはドル円相場の動向に加え、米国経済の行方や4月から本格化する企業の決算発表の内容で左右される場面も出てきそうだ。
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