アメリカの半導体株不調 S&P500上昇の重荷に 雇用統計後に異変
アメリカの半導体株の下落が目立っている。雇用統計が発表された8日以降はS&P500に見劣りする値動きで、今後に不安がある。
アメリカの半導体株がS&P500種株価指数の足を引っ張っている。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価は13日に反落し、S&P500の重荷になったほか、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)なども大きく下落。半導体株の多くは2月の雇用統計が発表された8日以降に変調がみられ、米国経済の先行きに対する不安が投資家心理を悪くしている可能性もありそうだ。一方、半導体株の2023年末比での値上がり率は依然として高く、勢いが大きく削がれているわけではないが、今後、半導体株が神経質な値動きをみせることも考えられる。
エヌビディアなどの半導体株がS&P500に見劣り
エヌビディアの株価(NVDA)の13日の終値は前日比1.12%安の908.88ドル。S&P500(SPX)の0.19%安を大きく下回る結果だった。エヌビディアの時価総額はS&P500構成銘柄の中でマイクロソフト(MSFT)とアップル(AAPL)に次ぐ大きさだけに、エヌビディアの不振がS&P500の値下がりの要因のひとつだったといえる。
S&P500内の半導体株では、AMDの株価(AMD)も13日に3.93%下落。半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も2.14%安となった。こうした値動きの結果、主要な半導体株で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.47%安となり、半導体株の不振ぶりが印象付けられた。
半導体株の不振は8日の雇用統計後で目立つ
こうした半導体株の不調は8日が節目になったといえそうだ。エヌビディアの株価は2月29日から3月7日にかけては6営業日続伸を記録したものの、8日以降は4営業日中の3営業日で下落。この4日間では1.92%安となり、S&P500の0.15%高に見劣りしている。この4日間は、AMDも7.85%安、アプライド・マテリアルズも5.67%安で、やはり半導体株の不振が目立つ結果となっている。
8日の株式市場で材料視されたのは取引時間開始前に発表された米国の2月雇用統計だ。エヌビディアの株価は朝方に値上がりした後、下落に転じ、終値は前日比5.55%安となった。2月雇用統計では非農業部門の就業者数の伸びが予想を超え、米国経済の堅調さを示す一方、失業率は2年1か月ぶりの高さにあたる3.9%まで上昇。こうした二面性のある結果が、半導体株の値動きに影響を与えた可能性がある。
半導体株の2023年末比での値上がり率は高いまま
ただし半導体株の2023年末比での値上がり率は依然として高い。エヌビディアの上昇率は83.53%高、AMDは32.14%高、アプライド・マテリアルズは23.75%高という勢いだ。S&P500やフィラデルフィア半導体指数には含まれていないが、日本のソフトバンクグループの子会社であるアーム・ホールディングス(ARM)の株価も2023年末比74.69%高で、好調を維持している。
また、半導体株値上がりの背景にある人工知能(AI)ブームへの期待も衰えてはない。LSEGのデータによると、エヌビディアの今後12か月の予想収益と現状の株価から算出される株価収益率(PER)は36.19倍。2023年8月には40倍を超えていたことを考えれば、エヌビディアの株価上昇は収益向上への期待に裏付けられているといえる。
とはいえ、米国株の好調さの前提となってきた米国経済の堅調さが崩れれば投資家心理は一気に悪化しかねない。米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利は2001年以来の高さで、景気を冷やす効果がこれから現れてくる可能性もあり、今後、半導体株の急ピッチでの値上がり基調が崩れる筋書きも考えられそうだ。
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