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日経平均に円高の試練 4万円台維持できず 半導体株の上昇ストップ

日経平均は円高進行の影響で6週ぶりの値下がり。アメリカでは2月雇用統計を受け、S&P500も3週ぶりに値下がりしている。

日経平均に円高の試練 4万円台維持できず 半導体株の上昇ストップ 出所:ブルームバーグ

日経平均株価の急上昇にブレーキがかかった。8日の終値は3万9688.94円で、1週間前比では221.88円安。4日に到達した史上初の4万円台で週を終えることはできなかった。日経平均の値上がりを牽引してきた半導体株の上昇もストップし、人工知能(AI)ブームを背景にした楽観ムードに冷や水がかかった形だ。投資家心理を冷やしたのはFX市場で進んだ円高。またアメリカの株式市場でも8日に発表された2月雇用統計を受けて、S&P500種株価指数が3週ぶりに下落しており、今後の日経平均の足を引っ張る可能性がある。

日経平均は5度の史上最高値更新後、4万円割れに

日経平均(N225)は週明け早々の4日に史上初の4万円台に到達。しかし3日後の7日には500円近い値下がりで4万円を割り込み、そのまま週を終えた。週次でのマイナスは6週ぶり。日経平均は2月22日に約34年ぶりの史上最高値更新を果たし、合計5回にわたる記録更新で4日に4万0109.3円をつけたが、流れに一服感が出た。

日経平均株価と週次の増減幅の推移のグラフ(2024年3月9日作成)


日経平均の下落を主導した銘柄の中では、株式相場を牽引役してきた半導体株が目立った。1週間前比での騰落率は、半導体検査装置のアドンバンテスト(6857)が2.65%安で、日経平均を50.35円押し下げ。レーザーテック(6920)も4.93%安で、27.04円の押し下げ効果があった。半導体製造装置のSCREENホールディングス(7735)も押し下げ効果が大きかった。

日経平均を動かした半導体銘柄など(2024年3月9日作成)

円高進行でも半導体株の年初来値上がり率は依然高水準

日経平均にブレーキをかけたのはFX市場での円高進行だ。円高は輸出企業の業績を下押しするなどして、株価のマイナス材料とみなされている。ドル円相場(USD/JPY)は、3月5日に米国のサービス業関連の経済指標が予想を下回ったことを機に円高方向に動いた。LSEGのデータによると、8日のニューヨーク市場の終値は1ドル=147.10円で、2月1日(146.42円)以来約5週ぶりの円高水準となった。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が議会証言で年内の利下げ開始に言及したことや、日本銀行がマイナス金利政策を解除する環境が整いつつあるとの報道が出たことも、ドルを売って円を買う流れを強めた。

一方、半導体各社の株価は値下がりしたとはいえ、2024年に入ってからの上昇率は依然として高水準だ。SCREENの55%高を筆頭に、東京エレクトロンは52%高、アドバンテストは44%高となっている。半導体はAIの開発やサービス展開に不可欠な製品で、マイクロソフト(MSFT)やアマゾン・コム(AMZN)など米国のハイテク大手からの需要が強い。日本の半導体各社の株価は円高で冷や水はかかったものの、AIへの期待が萎んだわけではなく、今後の値上がりへの期待も続きそうだ。

日経平均株価と主な半導体株の騰落率(2024年3月9日作成)

2月雇用統計は失業率が2年1か月ぶりの高さに

ただ、米国経済をめぐっては今後の底堅さを疑わせる材料も出ている。8日に発表された2月雇用統計では失業率が3.9%となり、2022年1月(4.0%)以来2年1か月ぶりの高さ。市場予想の3.7%も上回っている。非農業部門の就業者数は前月比27.5万人増で、予想(20万人)を超えたが、12月と1月の増加幅はそれぞれ下方修正された。なかでも1月は当初の35.3万人増から、22.9万人増まで大幅に引き下げられた。平均時給の前年同月比伸び率は4.3%で、予想(4.4%)を下回った。

アメリカの雇用統計(就業者数、失業率、平均時給伸び率)の推移のグラフ(2024年3月9日作成)

こうした中、8日の米国株式市場では、半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価が5.55%下落。S&P500(SPX)も0.65%安の5123.69となり、1週間前比では0.26%安となった。金融市場が見込む米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ時期については、6月利下げが有力視される状況に変わりはないが、今後は円高進行とあわせて、米国経済の先行き不透明感が日経平均にとっての重荷になる可能性も出てきそうだ。


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