日経平均、週次2180円上昇 半導体など全面高 円安進行で安心感
日経平均は円安に後押しされて、週次としては史上3番目の上げ幅。ただ、半導体株の一部での弱さや割高感という不安も抱える。
日経平均株価が再び記録的な値上がりをみせた。22日の終値は1週間前比2180.79円高となり、4万1000円に迫る水準。値上がりは相場の牽引役である半導体株に留まらず、225銘柄中の95%が上昇する全面高になった。日本銀行が金融緩和を維持するとの期待がFX市場での円安につながり、投資家を安心させたようだ。またアメリカの株式市場でもS&P500種株価指数の好調が続いている。ただ、半導体株の一部には弱さも感じられるうえ、日経平均の割高感が強まっていることも否めず、今後のFX相場の動向次第で投資家心理が冷え込むリスクは拭えない。
日経平均は4万1000円台が視野に入る水準まで上昇
日経平均(N225)の22日の終値は4万0888.43円。2日連続で最高値を更新し、4万1000円台が視野に入った。週次での上げ幅は1月8-12日週の2199.69円以来の大きさ。LSEGのデータによると、週次の上げ幅としては史上3番目の水準だ。
日経平均の上昇に最も寄与したのは半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)。週次での上昇率は11.07%で、日経平均を391.62円押し上げた。半導体株ではこのほか、半導体基板を手掛ける信越化学工業(4063)や、半導体検査装置のレーザーテック(6920)も好調。英半導体大手のアーム・ホールディングス(ARM)を傘下に持つソフトバンクグループ(9984)も日経平均への寄与度が大きかった。
記録的な値上がりを支えたのは半導体株だけではなく、ファーストリティリング(9983)やトヨタ自動車(7203)なども上昇を後押しした。日経平均を構成する225銘柄のうち週次で値下がりしたのは、9.67%安だった東京電力ホールディングス(9501)など10銘柄だけで、全銘柄の約95%が値上がりする全面高だった。
日銀発の円安が日経平均の追い風に
日経平均の上昇を勢いづけたのはFX市場での円安だ。ドル円相場(USD/JPY)では、19日に日銀がマイナス金利政策など大規模金融緩和を終了しつつ、今後も緩和的な金融環境が続くことを強調したことで円安が進行。22日午前には一時、1ドル=151.86円をつけ、11月13日の高値(151.92円)に迫った。円安は日本の輸出企業の業績を改善させる要因とされ、日経平均の見通しを明るくしたようだ。
また、米国の株式相場も勢いづいている。米連邦準備制度理事会(FRB)は20日までの連邦公開市場委員会(FOMC)に際して公表した経済見通しで、2024年中に3回の利下げを行う方向性を維持。米国の金利の先高観が弱まり、S&P500(SPX)の追い風になった。S&P500の22日の終値は1週間前比2.29%高の5234.18で、3週ぶりに反発。最高値更新を続けている米国の株高は今後の日経平均にとっても追い風といえる。
半導体株のアドバンテストには失速感も
ただ、日経平均を押し上げてきた半導体株にも不安の芽は潜む。半導体検査装置のアドバンテスト(6857)は週次での伸び率が1.7%どまりで、225銘柄中198番目の成績。年初来での上昇率は36%という高水準だが、東京エレクトロンや半導体製造装置のSCREENホールディングス(7735)と比べた場合には失速感もみてとれる。
さらに日経平均の上昇は円安に吹き上げられた印象も強く、割高感が出ていることは否めない。日経平均プロフィルによると、日経平均の水準と会計年度ベースの予想収益に基づいた株価収益率(PER)は22日終値時点で24.09倍になっており、2021年4月27日(24.49倍)以来の割高水準だ。
FX相場での円安は日本政府による為替介入への警戒からブレーキがかかっている。今後、FRBの利下げが近づくにつれて、円高方向への巻き戻しが起きる機会が増えるとも考えられ、日経平均の見通しが明るいとばかりはいえない。
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