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日銀の利上げは12月? 物価上昇4か月ぶり加速 円安で為替介入も

日本の物価上昇の根強さが確認され、日銀の12月の利上げが有力視されている。しかし足元では円安が進み、為替介入の可能性が高まる。

日銀の利上げは12月? 物価上昇4か月ぶり加速 円安で為替介入も 出所:ブルームバーグ

日本の物価上昇率に根強さが感じられた。22日に発表された2月の消費者物価指数(CPI)では物価上昇率が4か月ぶりに加速。政府のエネルギー価格対策の効果が一巡した影響のほか、サービス価格の伸びも維持された。大規模金融緩和を終えたばかりの日本銀行は今後も物価上昇率が2%を超えて推移するとみており、利上げを検討する局面も想定される。金融市場では2024年中の利上げが有力視されているようだ。ただ、ドル円相場では円安が続いており、日本政府による為替介入の可能性を高めている。

日本の2月CPIは総合指数、コア指数ともに2.8%上昇

2月CPIは総合指数の伸び率が前年同月比2.8%となり、1月の2.2%から加速。生鮮食品を除いたコア指数の伸び率も2.8%で、やはり1月(2.0%)を上回った。伸び率が前月を超えるのは10月以来で、物価上昇の根強さが示されたといえる。

日本の消費者物価指数(CPI、総合、コア、コアコア)の伸び率の推移のグラフ(2024年3月22日作成)

CPIの伸び率が高まったのは政府のエネルギー価格対策の影響が薄まったためだ。物価上昇は2023年2月分から反映された政府の電気・ガス代の抑制策の結果、前年同月比での伸び率が小さくなっていたが、今回で効果が一巡した。1月はエネルギー価格が総合指数の伸び率を1.07%ポイント押し下げる効果があったが、2月の押し下げ効果は0.14%ポイントに留まった。

物価上昇率をモノとサービスに分けてみた場合でも、エネルギー価格が含まれるモノの価格の上昇率は2月に3.3%となり、1月(2.1%)から大きく高まった。また、日銀が賃上げと物価上昇の好循環の達成に向けて重要視するサービス価格の伸び率は、2月が2.2%で1月と同じ数字だった。今後、春闘での賃上げ分がサービス価格に反映されていくかどうかが注目される。

日本のモノとサービスの価格の伸び率の推移(2024年3月22日作成)

日銀の利上げ時期は12月が有力か

物価上昇率の根強さは日銀が19日までの金融政策決定会合でマイナス金利政策など大規模金融緩和策を終了させた背景だ。日銀は金融機関同士で資金を貸し借りする際の翌日物金利を政策金利と位置付ける「普通の金融政策」に移行した。日銀は声明文で2%の物価安定の目標について、「持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」と説明。植田氏は今後の金融政策について「物価・経済見通しに従って適切な政策金利水準を選んでいく」としており、物価上昇圧力が高まっていく場合には日銀の利上げが視野に入ってくることになりそうだ。

こうした中、金融市場では利上げ時期として12月が有力視されている。LSEGのデータによると、投資家の動向から算出される12月の決定会合後の政策金利の水準は22日午前11時30分段階で0.3229%。現状の0-0.10%を起点として、主要中央銀行で一般的な0.25%幅の利上げが行われると考えれば、1回の利上げが想定されている計算になる。第一生命経済研究所の熊野英生氏は19日付のレポートで利上げ時期は「10-12月」と予想。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが始まり、米国経済の成長期待が高まった後、円安による輸入物価の上昇が日本の物価を押し上げる要因になるとの見方を示している。

ドル円相場では円安が進行し、為替介入の可能性も

ただ、日銀が利上げ方向に舵を切ったにも関わらず、ドル円相場(USD/JPY)では円安が大きく進行している。LSEGによると、ドル円相場は22日には一時、1ドル=151.86円をつけ、11月13日の高値(151.92円)に迫った。20日にFRBが利下げ姿勢を維持したこともドル安圧力としては働かず、実際には円安が進んでいる状況だ。

経済情勢に沿わないFX相場の値動きは日本政府による為替介入の引き金になりえる。鈴木俊一財務相は22日の閣議後記者会見で為替介入の可能性について、「日々の動きにはコメントを控える」としながらも、「高い緊張感をもって注視している」と述べた。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事(2024年3月22日作成)

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