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米利下げ期待でナスダック100は節目の水準が視野に、焦点はエヌビディアの決算

米国の株式市場は現在、上昇トレンドにある。S&P500は、8月5日の安値5,119からの上昇率が10%に達した。一方、ナスダック100は節目の20,000ポイントが視野に入る。今週は米半導体大手のエヌビディアが決算を発表する。ナスダック100のトレンドに大きな影響を与えるだろう。

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この記事のポイント

・景気懸念の後退とFRBの利下げが意識され、米国株は上昇トレンドにある
・しかし、エヌビディア頼みの状況となりつつある点には注意が必要だろう
・今週最も重要なイベントは、エヌビディアの2Q決算となろう(28日)
・ナスダック100、今週の見通しと注目のチャート水準について


底堅さ増す米国株

アメリカの株式市場は8月5日に底打ちして以降、株高トレンドへ転じている。多くの機関投資家が運用のベンチマークにするS&P500種株価指数(SPX、以下ではS&P500)は、今月5日の安値5,119レベルからの上昇率が10%に達した。

また、先週23日の時点でS&P500の全セクターが上昇している。これらの状況は、米国株の底堅さが増している状況を示唆している。

S&P500 セクター別パフォーマンス:8月6日~23日

S&P500 セクター別パフォーマンス:8月6日以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成

パウエルFRB議長「時が来た」

米株高の主因は、連邦準備制度理事会(FRB)の政策動向にある。

パウエルFRB議長は先週23日、経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演した。利下げについて、「The time has come for policy to adjust(政策を調整する時が来た)」と述べ、9月以降、FRBが緩和サイクルへ転じる方向性を示唆した。

FRBの政策転換が意識され、米長期金利(10年債利回り)は3.8%の水準を割り込む展開にある。米長期金利の低下に連動し、株高のけん引役となっている情報技術セクターの上昇幅が拡大していることが分かる(上の棒グラフおよび下の対数チャートを参照)。

そして、同セクタ-との相関性が高いナスダック100(NDX)も急反発する状況にある(下の対数チャートを参照)。

米10年債利回り、ナスダック100、情報技術セクターの動向:24年4月以降

米10年債利回り、ナスダック100、情報技術セクターの動向:24年4月以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成

次第にエヌビディア頼みの状況に

しかし、今の米株高は一部の主力銘柄に頼る状況に陥りつつある。その筆頭が、エヌビディア(NVDA)である。

この点を主力半導体株のパフォーマンスで確認すると、米国株が底打ちした8月5日を境に、エヌビディアの株価が約29%と急反発している。エヌビディアに追随しているのはアーム(ARM)のみ。ブロードコム(AVGO)以下の主力株は、エヌビディアに追随できない状況にある。

アメリカ半導体株のパフォーマンス:8月6日~23日

アメリカ半導体株のパフォーマンス:8月6日以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 終値ベース


現在の米株高がエヌビディア頼みの状況に陥りつつあることは、マグニフィセントセブンのパフォーマンスも示唆している。

同じく米国株が底打ちした8月5日以降のパフォーマンスを確認すると、他のマグニフィセントセブンの追随を許さないほど、エヌビディアの好調さが際立つ。

マグニフィセントセブンのパフォーマンス:8月6日~23日

マグニフィセントセブンのパフォーマンス:8月6日~23日 ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 終値ベース

市場が注目するエヌビディアの2Q決算

今週28日にエヌビディア(NVDA)が、2024年5〜7月期(第2四半期)の決算を発表する。

データセンター向けAI半導体の堅調な需要を受け、前年同期比で増収・増益の見通しにある。また、ゲーム部門の売上高は前年同期比で12.3%増、今後成長の柱として期待される自動運転向け半導体などの自動車部門の売上高は同比36.8%増と、それぞれ堅調な伸びが期待されている。

焦点は、第3四半期(3Q)の業績見通し(ガイダンス)となろう。アナリストのコンセンサス予想を上回る成長性を示すことができれば、エヌビディアの株価は時間外で上昇することが予想される。その影響は、情報技術セクター全体に及ぶだろう。情報技術セクターのさらなる上昇は、半導体株との相関性が高いナスダック100(NDX)の上昇要因となろう。

問題は、3Qガイダンスがコンセンサス予想を下回る場合である。2Q決算がコンセンサス予想を上回っても、ガイダンスで投資家の期待に応える成長性が示せない場合、エヌビディアの株価は時間外で下落することが予想される。その影響は他の半導体株にも波及しよう。

上で述べたとおり、今の米株高は半導体株の買戻し、特にエヌビディアの上昇がけん引役となっている。そのけん引役が失速すれば、今の株高に冷水を浴びせることになろう。

アナリストのコンセンサス予想:エヌビディア(NVDA)

アナリストのコンセンサス予想:エヌビディア ブルームバーグのデータで筆者が作成

ナスダック100の展望とチャート分析

節目の20,000ポイントが視野に

半導体株との相関性が高いナスダック100(NDX)は、他の指数と比べてエヌビディア(NVDA)の決算の影響を大きく受けるだろう。

直近の動向を日足チャートで確認すると、ナスダック100は上値の抵抗線を完全に突破し、現在はフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準19,922レベルの攻防にある(下のチャート、赤矢印を参照)。日足のMACDとRSIに反落のシグナルは点灯していない。エヌビディアの3Qガイダンスが投資家の期待に応える内容となれば、ナスダック100は19,922レベルだけでなく、節目の20,000ポイントをも突破すると予想する。

ナスダック100が20,000ポイントを突破した後、調整の反落局面でこの水準を維持する場合は、さらに上値をトライするシグナルと想定しておきたい。このケースでは、レジスタンスラインへ転換する可能性のある20,250ポイントのトライが次の焦点となろう。

ナスダック100が20,250レベルをも突破する場合は、7月中旬に相場の反発を止めた20,500ポイントのトライに注目したい。

下落局面での焦点は50日線と10線の攻防

一方、エヌビディアの決算や米金利の反発がナスダック100(NDX)の下落要因となる場合は、50日線と10日線の攻防に注目したい。

前者の50日線は、レジスタンスからサポートのラインへ転換している(23日時点19,502レベル、下のチャート青ラインを参照)。後者の10日線は、8月12日に相場を下支えした経緯がある(23日時点19,409レベル、下のチャート緑ラインを参照)。

ナスダック100:日足 24年6月以降

ナスダック100:日足 24年6月以降

出所:TradingView

19,000ポイントの維持

エヌビディア(NVDA)の決算を受けてナスダック100(NDX)が10日線を完全に下方ブレイクする場合は、19,000ポイントを目先の下限と想定し、1時間足にプロットした2つのフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。

19,330レベルを挟んで23.6%戻し(19,350)と半値戻し(19,329)が展開している。ナスダック100が19,330レベルを完全に下方ブレイクすれば、61.8%戻し(19,186)のトライを想定しておきたい。

なお、19,000レベルは76.4%戻し(19,009)と38.2%戻し(18,986)が重なる水準である。テクニカルの面でも19,000ポイントは、急落局面でサポートラインとして意識される可能性があろう。

ナスダック100:1時間足 8月以降

ナスダック100:1時間足 8月以降

出所:TradingView


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