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米国株、半導体株で加速 S&P500に決算期待 割高感は見通しに影

アメリカのS&P500は連日で最高値を更新。エヌビディアも4か月ぶりに最高値を更新し、決算発表本格化を控えて半導体株への期待が高まっている。

米国株、半導体株で加速 S&P500に決算期待 割高感は見通しに影 出所:Adobe Images

アメリカの株式市場の上昇が加速してきた。S&P500種株価指数の14日の終値は前週末比0.77%高。9月以降では8回目の最高値更新を果たし、勢いの強さを感じさせている。なかでも半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)が約4か月ぶりに最高値を更新するなど、半導体株の復活が目立つ。17日の台湾積体電路製造(TSMC)の2024年7-9月期決算発表など、注目度が高い企業決算を控える中、投資家の期待が高まっているといえそうだ。また、米国経済の今後の見通しに関し、軟着陸(ソフトランディング)を実現するとの期待が強まっていることも株高に貢献している。一方、米国株の割高感は約2年9か月ぶりの高水準に達しており、決算発表が失望を招けば、7月の決算シーズン同様に株価下落につながるリスクもある。

アメリカのS&P500は2営業日連続の最高値更新

S&P500(SPX)の14日の終値は5859.85となり、2営業日連続で最高値を更新した。S&P500は1月19日から7月16日にかけて38回の最高値更新を果たした後、9月19日までの約2か月間は最高値が出ていなかっただけに、見通しの明るさを感じさせる。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

半導体株が大きく上昇 エヌビディアは4か月ぶり最高値

S&P500の上昇を引っ張っているのは半導体株だ。エヌビディアの株価(NVDA)の14日の終値は前週末比2.43%高の138.07ドルで、6月18日(135.58ドル)以来の最高値更新。クアルコム(QCOM)は4.74%高、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も4.31%高となった。また、S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手のアーム・ホールディングス(ARM)も6.84%高となっている。

エヌビディアやアーム・ホールディングスなどアメリカに上場する主な半導体株の推移のグラフ

S&P500の最高値更新が7月以降に途絶えた背景には、大統領選挙で共和党候補となっているドナルド・トランプ前大統領の発言や、ジョー・バイデン政権の半導体輸出規制強化をめぐる報道が半導体株の見通しを悪くしたことがある。それだけに半導体株の勢いはS&P500にとっての好材料といえそうだ。LSEGによると、エヌビディアの時価総額は3兆3868億ドルとなってアップル(AAPL)に迫っており、前回最高値をつけた6月18日以来の首位奪還も近づいている。

エヌビディア、アップル、マイクロソフトの時価総額の推移のグラフ

TSMCや大手ハイテク企業の7-9月期決算発表が間近に

半導体株をめぐってはTSMCが17日に7-9月期決算を発表する予定。増収のペースや今後の見通しが焦点だが、すでに発表されている台湾ドルベースでの総収入は市場予想を超えており、好決算への期待が高まっているようだ。また、23日にはテスラ(TSLA)、29日にはアルファベット(GOOGL)が決算発表を予定。メタ・プラットフォームズ(META)とマイクロソフト(MSFT)は30日、アップルは31日に決算を発表する。これら大手ハイテク企業の決算発表が好感されれば、人工知能(AI)ブームの継続が材料視されてS&P500の上昇を後押しする可能性がある。

また、S&P500の勢いの復活には米国経済の今後の見通しへの安心感が強まっていることもありそうだ。10日発表の9月消費者物価指数(CPI)や、11日発表の卸売物価指数(PPI)や大手銀行の決算を受け、金融市場では物価上昇圧力鎮静化と景気後退回避を両立させる軟着陸シナリオの実現性が高まったとみられている

S&P500の予想PERは2年9か月ぶりの高さ 見通しに不安も

ただ、S&P500には割高感の問題もつきまとう。LSEGによると、S&P500の水準と今後12か月の収益予想から算出される株価収益率(PER)は9月26日には21.626倍に達し、2022年1月上旬につけた21.736倍以来の高さとなった。前回の決算発表シーズンにあたる7月には、半導体株の急落後、テスラやアルファベットの決算発表が利益面での不安を高めてS&P500の下落が加速したこともあるだけに、S&P500の今後の見通しに関する投資家心理が一転する可能性も残されていそうだ。

S&P500と予想株価収益率(PER)の推移のグラフ

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