PCE物価、2月は加速か 冷えないサービス価格 S&P500不安
アメリカの2月PCE物価は5か月ぶりに上昇が加速する予想。急ピッチで上昇してきたS&P500にブレーキをかける可能性がある。
アメリカ商務省が29日に発表する2月の個人消費支出(PCE)物価指数は物価上昇の減速が止まると見込まれている。総合指数の伸び率は前年同月比2.5%と見込まれ、予想通りになれば5か月ぶりの物価上昇加速となる。米国の物価上昇率の高止まりはサービス価格での減速が進まないことが要因。2月PCE物価の結果が株式市場が期待する米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに向けた障害になる可能性がある。米国の金利の先高観が弱まらない状況は、株式市場ではS&P500種株価指数の足かせになっており、今後の上昇に向けた不安につながる懸念もありそうだ。
アメリカの2月PCE物価の伸び率は2.5%に高まる予想
米商務省は29日午前8時30分(日本時間29日午後9時30分)に2月のPCE物価指数を発表する。ロイターがまとめた事前予想によると、総合指数の伸びは1月(2.4%)を上回り、9月以来の物価上昇加速になる見通し。また食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2.8%とみこまれ、こちらは1月から横ばいになると予想されている。
米国の物価上昇の減速にブレーキをかけているのはサービス物価だ。サービス物価の伸び率は1月に3.9%となり、6%に達したかつての水準からは下がっているものの、モノの価格がマイナス0.5%となっていることを考えれば、根強さが鮮明だ。なかでも家賃の伸び率は12月まで前年同月比6%を超える水準で推移しており、物価上昇の減速ペースを遅らせている。
FRBのパウエル議長は物価上昇の先行きに楽観的
こうしたサービス価格の動向についてFRBのジェローム・パウエル議長は楽観的な立場をとっている。20日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見では、新規で契約が結ばれる家賃の動向などを踏まえて、いずれは物価指数に表れる家賃の上昇率が十分に下がってくるとの見方を示した。ただしパウエル氏は「(家賃の上昇率が下がる)正確なタイミングは不確かだ」とも述べており、物価上昇の先行きを完全に見通せているわけではないようだ。
こうした中、株式市場では今後のS&P500の上昇再加速が危ぶまれる状況だ。S&P500(SPX)の27日の終値は前日比0.86%高の5248.49で、2024年に入ってから21回目の最高値更新を達成。しかし値上がりは4営業日ぶりで、FRBが20日に年内3回の利下げを行う方向性を維持したにも関わらず、相場の勢いは弱い。このため、2月のPCE物価指数で、物価上昇の根強さが確認されれば、金融市場で有力視されているFRBの6月利下げの確度が低くなり、S&P500の重荷になる可能性がある。
S&P500は1月は1.59%高、2月は5.17%高と好調を維持。3月は27日終値段階で2.99%高となっており、急ピッチでの上昇は割高感の強まりも伴っている。今後も物価上昇が根強いまま米国経済の堅調な成長が続けば、FRBが利下げを急ぐ必要性は薄いとも考えられ、S&P500の上昇に対する投資家の期待拡大がストップする筋書きも考えられそうだ。一方、PCE物価が予想に反して弱い結果となり、6月利下げの確度が高まった場合は、S&P500には追い風になる。
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