米国株に息切れ懸念 利下げ期待でもS&P500続落 半導体株も明暗
S&P500は25日に2営業日続落。アメリカの金利の先高観は和らいだが、予想PERの割高感も強まる中で先行き不安が消えない。
アメリカの株式市場に息切れへの懸念が出ている。25日のS&P500種株価指数の終値は2営業日続落の0.31%安。連邦準備制度理事会(FRB)が20日に今後の利下げ見通しを維持し、先行きは明るくなったものの、一本調子での上昇にはつながっていない。注目度の高い半導体株の中でも主要銘柄の一部には弱さもみられ、やはり盛り上がりを欠いている。S&P500は2024年に入って最高値更新を繰り返し、経済状況でも好条件がそろう。しかし株価の割高感も強まる中で、投資家は企業業績を含めた今後の先行きへの不安をぬぐい切れないようだ。
S&P500はFRBが利下げ姿勢維持後も勢いにのらず
S&P500(SPX)の25日の終値は5218.19。FRBが2024年中に3回の利下げを行う経済見通しを維持した20日は0.89%高、22日も0.32%高と値上がりが続いたが、22日以降は値下がりに転じた形だ。LSEGのデータによると、株価の重荷になる長期金利(10年物米国債利回り)は22日には4.218%まで下がったが、25日は4.253%まで上がっている。
アメリカの半導体株は明暗が分かれている
人工知能(AI)ブームに乗っている半導体株の値動きも足並みがそろっているわけではない。半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価の25日の終値は前週末比0.76%高の950.02ドル。FOMCがあった20日以降の4営業日での上昇率は6.27%に達した。また、ブロードコム(AVGO)も同じ4営業日で9.17%の伸びをみせている。
一方、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)はこの間、1.54%の下落に見舞われている。AMDはエヌビディアとの競合関係も材料視されているもようで、今後、半導体株の間で優劣が生じることもありそうだ。また、英紙フィナンシャル・タイムズは24日に、中国政府が導入を始めている新たな指針の結果、政府が用いるパソコンやサーバーからインテル(INTC)やAMDの半導体製品が締め出されると報じている。こうした米中対立の帰趨も半導体株の値動きを左右する可能性がある。
S&P500の予想PERは2年2か月ぶりの高さに
ただ、米国株の勢いが完全に失われたわけではない。S&P500は1月19日から3月21日にかけて20回にわたって最高値を更新。2024年に入ってからの3か月足らずで9.40%の値上がりをみせている。FRBのジェローム・パウエル議長は20日の記者会見で「物価上昇率は大きく減速し、雇用情勢は強い状態が維持されている」と述べており、良好な経済は株価にとっても追い風になると考えられる。
とはいえ、S&P500の急ピッチでの値上がりは割高感の強まりを伴っていることも確かだ。LSEGのデータによると、S&P500の水準と構成銘柄の今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は14日以降、20.75倍で推移しており、2022年1月中旬以来の高さになっている。1985年以降の予想PERの平均は約15.7倍で、20倍を超えることはめずらしいともいえる。予想PERの水準は企業業績の見通しにも大きく左右されるだけに、投資家が4月の決算発表シーズンを前に警戒感を高めている側面もありそうだ。
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