米国株にパウエル氏が冷や水 S&P500が3日ぶり下落 割高感も
パウエル議長が週末のテレビで利下げへの慎重姿勢を表明。予想PERの高さもあってアメリカ株の上昇にブレーキがかかった。
アメリカ株の上昇に冷や水がかかった。週明け5日のS&P500種株価指数の終値は3営業日ぶりの下落。週末に放送された米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長のテレビインタビューの内容が利下げに慎重姿勢を示したと受け止められたようだ。金融市場での利下げ期待は後退し、長期金利(10年物米国債利回り)は上昇している。S&P500は米国経済の好調さの中で史上最高値を更新してきたが、株価の割高感を示す指標は2年ぶりの高さになっており、株式市場では上値を追うことへの慎重姿勢も感じられる。
パウエル氏の発言でS&P500が3営業日ぶりの反落
S&P500(SPX)の5日の終値は前日比0.32%安の4942.81だった。S&P500は1日のメタ・プラットフォームズ(META)とアマゾン・コム(AMZN)の好決算や、2日発表の1月雇用統計で米国経済の好調さが示されたことなどを背景に2日間で2.33%の上昇を記録していたが、勢いがそがれた形となった。
株式相場にブレーキをかけたのは4日夜に放送されたパウエル氏のインタビューだ。パウエル氏は一部で期待が残っていた3月の利下げについて「ありそうにない」との立場を改めて表明。「利下げという非常に重要なステップを踏むまでには、(物価上昇率2%の持続的な達成に関する)さらなるいくらかの自信を持ちたい」と述べた。
パウエル氏の発言は31日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見に沿った発言で、金融市場では利下げへの慎重姿勢として受け止められたようだ。CMEグループのデータによると、3月19、20日のFOMCでの利下げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間6日午前11時現在で約15%。週末につけていた約21%から低下した。5日のニューヨーク債券市場の長期金利の終値は4.164%で、1月24日(4.178%)以来の高さ。12月12日以来の4.2%が近づいている。
S&P500の予想株価収益率(PER)は2年ぶりの高水準
またS&P500は割高感が意識される水準にあるともいえる。LSEGのデータによると、S&P500の水準と構成銘柄の今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は1月25日以降、約20.1倍で推移している。S&P500の予想PERが20倍を超えるのは、FRBが利上げを開始する前月にあたる2022年2月以来だ。S&P500の予想PERの1985年以降の平均値は約15.6倍で、20倍を超えた期間は全体の14%程度でしかない。
S&P500は1月19日に約2年ぶりとなる史上最高値更新を達成。その後も記録を塗り替えてきた。2024年に入ってからの上昇率は5日終値時点で3.63%に達している。ただ、予想株価収益率の高さは、企業業績の見通しに比べて株価上昇の勢いが強いことを意味する。FRBが「2024年に3回」の利下げの方向性を示した12月以降、金融市場は年内5、6回の利下げを織り込んできただけに、過剰な期待を修正する必要も高まっていそうだ。
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