日経平均の勢い復活 アメリカ経済不安後退 S&P500は4週連騰
日経平均は週次で400円超の上昇。米国の雇用統計は力強い結果で、S&P500の値上がりにつながっている。
日経平均株価の上昇に勢いが戻った。2日の終値は1週間前比400円超高で、2週ぶりの上昇。週末の終値で3万6000円台を維持し、さらなる値上がりへの足掛かりを作った形だ。一方、アメリカの株式市場ではS&P500種株価指数が4週連続での上昇を記録。2日に発表された1月の雇用統計が米国経済の力強さを示し、くすぶり続ける景気後退への不安が和らいでいる。金融市場では株価の追い風になる米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ開始は後ずれするとみられているが、ハイテク企業の好決算も出ており、株式相場のムードは明るい。
日経平均は週次406円超の上昇で3万6000円を維持
日経平均(N225)の2日の終値は3万6158.02円。1週間で406.95円の値上がりを記録し、200円超安となった前週の足踏みから再スタートを切った。日経平均は5営業日連続で3万6000円台を維持しており、高値への警戒の和らぎも感じられる。2023年末比では2700円近い上昇幅で、2024年のスタートダッシュに成功した。
日経平均にとって安心材料となっているのは米国の株式市場の堅調さだ。S&P500(SPX)の2日の終値は前日比1.07%高の4958.61。4営業日ぶりに史上最高値を更新した。1週間前比では1.38%高で、4週連続の上昇となった。2023年末比でみても3.96%の値上がりという好スタートだ。
アメリカの1月雇用統計がS&P500の上昇を後押し
S&P500の好調さは米国経済の強さに裏付けられている。2日に発表された1月の雇用統計は非農業部門の就業者数が前月比35.3万人増。事前予想の18万人増を大幅に上回った。失業率は3.7%で、予想の3.8%よりも良い結果。また、平均時給の伸び率は前年同月比4.5%増となり、予想(4.1%増)を大きく超えた。いずれも米国の労働市場が強く、経済が順調であることを示す結果だといえる。
こうした数字はFRBによる利下げが遠のいたとの見方につながり、株価を下押しする材料にになりえる。FRBのジェローム・パウエル議長が1月31日の記者会見で、市場が期待していた3月利下げについて「ありそうにない」と述べた際、S&P500は前日比1.61%安と失速した。
ただ、それでも2日のS&P500が上昇した背景には、FRBが労働市場の過熱を以前ほどは警戒していないという事情もありそうだ。パウエル氏は31日の記者会見で「労働市場は正常化に向かっている」と強調。物価上昇圧力として働く賃金上昇率の高さが通常状態に戻るのに時間がかかったとしても問題視しない考えを示した。一方、パウエル氏は労働市場が想定以上に弱くなった場合に「より早いタイミングでの利下げ」がありえるとしており、懸念の対象が労働市場の過熱から急激な冷え込みへと移っている様子が感じられる。
FRBの利下げ開始時期は5月が有力に
こうした中、金融市場ではFRBの利下げ開始時期が、これまで予想されていた3月ではなく、5月になると見込まれている。CMEグループのデータによると、3月19、21日のFOMCでの利下げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間3日朝の時点で約21%。一方、5月までの利下げの確率は約73%となっている。
S&P500には企業決算の追い風も吹いた。2日の米国の株式市場では前日に2023年10-12月期決算を発表したSNS大手のメタ・プラットフォームズの株価(META)が前日比20.32%高と急騰。同じく決算を発表したアマゾン・コム(AMZN)の株価も7.87%高となった。好調だった1月の雇用統計と大手ハイテク株の大幅な値上がりは、週明けの日経平均にとっても安心材料になりそうだ。
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