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米国株は経済指標にらみの一週間、米FRB高官の発言には警戒、S&P500の見通し

今週の米国株は経済指標にらみの一週間となろう。経済の強さを示す内容が続けば年末高の期待が高まろう。一方、米FRB高官の発言内容には注意したい。インフレ再燃を警戒し利下げに慎重な意見が続けば、調整売りの要因になり得る。今週のS&P500の見通しについて。

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強気相場が続く米国株、ラッセル2000の上昇は強固な株高の土台を示唆

米国株が強気相場を維持している。先月29日の市場では、ダウ平均S&P500がそろって最高値を更新した。

より注目したいのが、ラッセル2000の強さである。11月の週間騰落率を確認すると、11日~15日の週以外はすべて上昇して終えた。アメリカ大統領選挙以降の騰落率をみてもラッセル2000の上昇率は7.7%と、他の指数を圧倒している。中小型株にまで買いが広がる今の状況は、強気相場の土台が強固であることを示唆している。

アメリカ株価指数の騰落率:11月5日基準、11月29日までの動向

アメリカ株価指数の騰落率:11月5日基準、11月29日までの動向

ブルームバーグのデータで筆者が作成

今週は経済指標にらみの一週間に、11月の雇用統計に注目

ラッセル2000の上昇は、アメリカ経済の先行きについて強気の見方が優勢であることを示唆している。今週は景気動向を見極める重要な経済指標がいくつか発表される。注目ポイントを以下にまとめた。

・内需の中小型株で構成されるラッセル2000の上昇は、アメリカ経済の強さを意識した動きと考えることができる。この点は、S&P500のセクター別パフォーマンスでも見て取れる。アメリカ大統領選挙以降のパフォーマンスを確認すると金融、一般消費財そして資本財など景気敏感株の上昇率がS&P500のそれを上回り、S&P500の上昇をけん引している

S&P500のセクター別パフォーマンス:11月5日基準、11月29日までの動向

S&P500のセクター別パフォーマンス:11月5日基準、11月29日までの動向

ブルームバーグのデータで筆者が作成

・今週は景気の動向を見極めるための重要な経済指標が多く発表される。今日は11月のISM製造業景気指数が材料視される可能性がある。ブルームバーグがまとめた市場予想は47.6と、10月の46.5から改善の見通しにある。新規受注と雇用指数にも注目したい。これらの指数でも改善の傾向が見られる場合は、景気の底堅さを意識した買いが米国株を支えることが予想される。この点は、4日に発表されるISM非製造業景気指数も同じである

・ISM指数は材料視される可能性がある。だが市場参加者の関心が最も高いのは、11月の雇用統計である。ブルームバーグがまとめた市場予想では非農業部門雇用者数変化が20万人増、失業率が4.1%と、アメリカの労働市場が引き続き堅調さを維持する状況が見込まれている

アメリカ雇用統計 各項目の動向:月次 23年11月以降

アメリカ雇用統計 各項目の動向:月次 23年11月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

米FRB高官の発言には要注意、調整売りの要因となる可能性あり

強い経済指標が米株高の要因となる一方、景気の先行き不安を高める弱い内容が続けば、株安の要因となろう。その要因として、今週もう一つ注意したいのが、米連邦準備制度理事会(FRB)の要人発言である。要点を以下にまとめた。

・今週は何人かの米FRB高官が講演や討論会に出席する。なかでも注目されるのが、ウォラー理事とパウエル議長の発言内容となろう。ウォラー理事は2日に米国経済研究所(AIER)で経済見通しについて講演を行う。パウエル議長は4日、米紙ニューヨーク・タイムズの討論会に登壇する

・ウォラー理事は先月28日のアメリカン・エンタープライズ・インスティテュートの講演で、第4四半期にインフレが一段と低下する見通しを示しながらも水準は依然として高く、最近の進展が持続可能だと完全に確信するには時期尚早と述べた。パウエル議長は利下げについて慎重に判断する姿勢を示している

・両氏が金融政策について言及する場合、インフレ再燃を意識した慎重な利下げ判断が必要になるとの見解が示される場合は、利下げサイクル休止の観測が浮上することが予想される。事実、短期金融市場では、来年1月のFOMCの利下げ確率が15%程度まで低下し、米FRBがいったん利下げを停止する可能性が意識されている(OISに基づく予想確率、12月2日12時時点)。

・ウォラー理事やパウエル議長の他、インフレの抑制が滞っているとの認識を示したクーグラー理事やボウマン理事、インフレ対応で任務が完了したと宣言するのはまだ早いと指摘したことのあるクリーブランド地区連銀のハマック総裁らが講演などを行う。米FRBの高官から市場の利下げ期待をいさめる言動が相次げば、調整の株安材料となる可能性があろう

米FRB高官による講演などの日程と概要

米FRB高官による講演などの日程と概要

ブルームバーグの情報から筆者が作成 / 日時:日本時間


S&P500 今週の見通しとテクニカルライン

今週のレジスタンスライン

短期の21日線、中期の50日線そして長期の200日線が上から順に並び、かつ上向きにあるパーフェクトオーダーは、テクニカルの面でもS&P500が強気相場にあることを示している。強い経済指標で景気敏感株の買いが続けば、最高値を更新する状況が続くだろう。注目のレジスタンスラインを以下にまとめた。

・テクニカル面で注目したいのが、フィボナッチ・エクステンション76.4%の水準6,056のブレイクアウトである。このテクニカルラインの突破は、6,100ポイントをトライするサインと捉えたい

・S&P500が6,100ポイント台へしっかりと上昇する場合は、フィボナッチ・エクステンション100%の水準6,168ポイントが視野に入ろう

レジスタンスライン

・6,168:フィボナッチ・エクステンション100%
・6,100:レジスタンスライン
・6,056:フィボナッチ・エクステンション76.4%
・6,044:11月29日の高値


今週のサポートライン

今週の米経済指標やFRB高官の発言が調整売りを促す場合は、以下で取り上げたサポートラインの攻防に注目したい。地合いの強さを考えるならば、下落幅は限定的となることが予想される。

・S&P500の売り局面では、6,000ポイントの維持が焦点となろう

・S&P500が6,000ポイントを下方ブレイクする場合は、サポートラインとして相場を下支えしている21日線までの反落を想定しておきたい。10日線の下方ブレイクは、21日線をトライするサインと捉えたい

・直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準は節目の6,000ポイントにあたる。半値戻しは10日線、61.8%の水準は21日線付近にあり、それぞれサポートゾーンを形成する展開を想定しておきたい。38.2%水準はレジスタンスからサポートのラインへ転換した水準である

・S&P500が最高値を更新する場合は、リトレースメントの水準も切り上がる。その都度、最新のテクニカルラインを確認したい。

サポートライン

・6,000:節目のライン、フィボナッチ・リトレースメント23.6%
・5,971:フィボナッチ・リトレースメント38.2%
・5,950前後:10日線(11月29日時点)、半値戻し
・5,920前後:21日線(11月29日時点)、フィボナッチ・リトレースメント61.8%


S&P500のチャート

日足 24年7月以降

日足 24年7月以降

出所:TradingView

45分足 11月以降

45分足 11月以降

出所:TradingView


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