日経平均、高値で足踏み 日銀と半導体安を警戒 S&P500上昇継続
日経平均は週次で小幅安となり、3万6000円台転落。一方、アメリカではS&P500が3週連続で値上がりしている。
日経平均株価が約34年ぶりの高値圏で足踏みした。26日の終値は1週間前比で212.20円安の3万5751.07円。25日までは4日連続で3万6000円台に乗せていたが、1週間の最後の1日で大台から滑り落ちた。日本銀行によるマイナス金利政策解除への思惑と、半導体株下落への不安が投資家心理を暗くした結果で、上昇継続への戸惑いも感じられる。一方、アメリカの株式市場では米国経済の堅調さと物価上昇減速が確認されており、S&P500種株価指数は3週連続での値上がりを維持。週明け以降の企業決算や連邦準備制度理事会(FRB)からの情報発信に際して、日米の株価の底力が試されそうだ。
日経平均、33年11か月ぶり高値で週次小幅安
日経平均(N225)の週次での下落は3週ぶり。26日の終値は前日比では485.40円安で、2023年12月21日(535.47円安)以来の大きな下げ幅だった。週の初めの22日に3万6546.95円をつけ、約33年11か月ぶりの高値を更新したが、その後は伸び悩んだ。ただ、1月に入ってから約2300円上昇している好調さに変わりはない。
日経平均の足を引っ張った要因のひとつが日銀が大規模金融緩和のさらなる修正に向かっているとの観測だ。日銀は23日までの金融政策決定会合後に発表した経済見通しの中で、賃上げと物価上昇の好循環の達成について、「こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっている」と言及。マイナス金利政策解除が近づいていると受け止めることができるメッセージを発した。日銀の大規模金融緩和は、海外投資家が日本株の成長性を高く評価する背景になっているだけに、今回の日銀の経済見通しは日本株の重荷となったようだ。翌24日の日経平均は前日比291.09円安となった。
日本とアメリカで半導体株が大幅下落
また、日経平均の26日の大幅な下落は半導体株安への懸念が引き起こした。前日の米国市場の取引時間終了後に半導体大手のインテル(INTC)が1-3月期について弱い見通しを発表し、26日の日本市場で半導体試験装置のアドバンテスト(6857)が前日比5.51%安、半導体製造装置を手掛ける東京エレクトロン(8035)が2.39%安となった。26日の米国市場ではインテル株が11.91%下落。人工知能(AI)開発用の半導体で急成長しているNVIDIA(エヌビディア、NVDA-US)は0.95%安となった。
とはいえ日銀の経済見通し発表後も、日本の長期金利(10年物国債利回り)は0.7%台という水準。発表前の0.6%台からは上昇しているものの、日本株の優位性を損ねる水準とは言い難い。また、アドバンテストの株価は2022年末からの1年余りで約2.9倍、東京エレクトロンの株価は約2.2倍になっており、投資家の期待がすぐに冷え込むわけではなさそうだ。23日と26日の大幅安からは、投資家が約34年ぶりの高値圏で上値を追うことに慎重になっている様子がうかがえる。
S&P500は3週連続での上昇を維持
一方、米国の株式市場では楽観が広がっている。S&P500(SPX)はインテル株が大幅安となった26日、前日比0.07%安となり7営業日ぶりに値下がりしたが、1週間前比では1.06%の値上がりを維持した。週次での上昇は3週連続だ。2023年11月以降の13週中、週次で値下がりしたのは1月最初の週だけだ。
投資家心理を明るくしているのは、景気後退回避と物価上昇抑制が両立する軟着陸(ソフトランディング)への期待の高まりだ。26日に発表された12月の個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率は総合指数が11月と同じ前年同月比2.6%。食品とエネルギーを除いたコア指数は2.9%で、11月(3.0%)から低下した。コア指数の伸び率が2%台になるのは、2021年3月(2.3%)以来となる。また、25日発表の2023年10-12月期のGDP速報値では米国経済の堅調な成長が確認された。
週明けの米国では重要なイベントが相次ぐ。FRBは31日までの連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利据え置きが確実視されており、ジェローム・パウエル議長が記者会見で利下げ時期についてどう言及するかが焦点。2月2日には1月雇用統計が発表され、米国経済の強さにほころびが出ていないかが注目される。また、30日と1日には「マグニフィセント・セブン」と称されるハイテク大手7社のうち、マイクロソフト(MSFT)やアップル(AAPL)など5社が決算発表を予定しており、決算の結果や見通しが再び日経平均に影響を与える可能性もありそうだ。
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