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FRB利下げは3月? 方針転換示唆 円高急進一時141円割れ

FRBが政策金利見通しを引き下げ、円高ドル安が急進。7月末以来の1ドル=140円割れも視野

出所:ブルームバーグ

ドル円相場で円高ドル安が急進している。14日の東京市場での取引は1ドル=140円台後半をつける場面もあり、7月28日以来となる140円割れが近づいている。円高ドル安の要因は13日にアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利水準の見通しを引き下げ、2024年3月利下げの確度が高まったことだ。ジェローム・パウエル議長は連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、高い政策金利が経済活動を冷やしすぎるリスクを強調。FRBの懸念の対象を物価上昇から経済活動の弱まりに移す方針転換を感じさせており、ドル円相場ではしばらくは日米金利差縮小が意識されそうだ。

ドル円相場は一時、140円台後半

14日の東京市場のドル円相場(USD/JPY)は142円台後半でスタート。午後には日本銀行の植田和男総裁の「チャレンジング」発言があった7日の円高水準を超え、一時、140.94円をつけた。ドル円相場は前日の13日のニューヨーク市場でも前日比1.75円の円高ドル安が進んでおり、ドル売りが勢いづいている。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事

円高ドル安を急進させたのはFRBが利下げを示唆したことだ。FRBは13日までのFOMCで政策金利を5.25-5.50%で据え置くとともに、政策金利の見通しを下方修正。2024年末の政策金利が4.50-4.75%になるなどとする見通しを公表した。2024年中に0.25%幅の利下げを3回行うことを示唆したといえる。9月段階での見通しでは、2024年末の政策金利は5.00-5.25%としていただけに、利下げの可能性が一気に強まった。

FOMC参加者が示した政策金利の見通しの変化のグラフ

アメリカの長期金利は4%割れの場面も

これを受けて13日のニューヨーク債券市場では長期金利(10年物米国債利回り)の終値が4.033%となり、8月9日(4.012%)以来の低水準となった。LSEGのデータによると、その後、4%を割り込む場面も出ている。CMEグループのデータによると、2024年3月のFOMC後に政策金利が現状よりも低くなっていることについて、投資家の動向から算出される確率は、日本時間14日午後3時の段階で約70%。1月のFOMCで利下げがある確率も約20%あると見積もられている。

アメリカの長期金利とドル円相場の推移のグラフ

長期金利の低下を好感し、米国の株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)が前日比1.37%上昇し、4営業日連続で年初来高値を更新。史上最高値まであと約90ポイント(1.9%)に迫っている。一方、14日の東京株式市場では日経平均株価(N225)が前日比240.10円安の3万2686.25円となった。円高による輸出企業の業績悪化が懸念された。

パウエル氏が政策金利高止まりのリスクに言及

FRBに利下げの必要性を意識させたのは経済成長鈍化への懸念のようだ。パウエル氏は記者会見で、政策金利を高く維持し続ければ経済活動を冷やしすぎる可能性があることを踏まえ、「われわれはそのリスクを認識しているし、その失敗を犯さないことに非常に集中している」とした。また、この日示された経済見通しでは、2024年10-12月期の実質成長率が前年同期比で1.4%に留まると見込まれている点を指摘。「経済成長が来年は低くなると信じるに足る十分な証拠と理由がある」と述べた。

一方、パウエル氏は物価上昇率2%目標に向けた動向については「進展が見られた」と述べるにとどめた。22日に発表される11月の個人消費支出(PCE)物価指数については、伸び率が総合指数で前年同期比2.6%となり、10月(3.0%)から大きく低下するとの見通しを提示。同時に2%までの引き下げの難易度については「何らかの確信があると示唆することはためらわれる」としている。

また、パウエル氏は利下げのタイミングについては「慎重に検討する」としており、時期を示すことは避けた。ただ、7月まで続けてきた利上げについては「もはやベースケースの想定ではないことは明らかだ」と話し、FRBの次の政策変更は利下げ方向であることを明かしている。FRBの懸念の対象が物価上昇から経済の活力低下に移りつつある中、外国為替市場ではアメリカの利下げを意識したドル安が進みやすくなりそうだ。


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