米金利15年ぶり高さ更新 FRBタカ派ならS&P500下落も
アメリカの長期金利がFRBの経済見通し公表を前に高値を更新した。円安ドル高やSP500下落の前触れともとらえられる。
アメリカの金利水準に上昇圧力がかかっている。19日のニューヨーク市場では長期金利(10年物米国債利回り)が15年10か月ぶりの高さを更新。米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の見通しを示す20日を控え、金利の先高観が強まっている形だ。20日のFRBのメッセージから利上げに前向きなタカ派の姿勢が感じられれば、円安ドル高やS&P500種株価指数の下落といった反応が出る可能性がある。19日の外国為替市場や株式相場は小幅な値動きだっただけに、同時に進んだ金利上昇は嵐の前触れともとらえられそうだ。
アメリカの長期金利は2007年11月6日以来の水準
19日のニューヨーク債券市場の長期金利の終値は前日比0.048ポイント高の4.367%。8月21日につけた直近の高値(4.342%)を更新した。長期金利がこの水準に到達するのは2007年11月6日(4.380%)以来となる。
FRBは20日までの連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送りが確実視されており、金融市場の注目はFOMC後に発表される経済見通しに集まる。前回の経済見通しが示された6月のFOMCでは1年5か月ぶりに利上げが見送られたが、経済見通しは年内に2度の利上げを示唆。それまでは年内1度の利上げが想定されていただけに、金融市場にとってサプライズとなり、その後の金利上昇の要因となった。
現在の金融市場では追加利上げをめぐる意見は割れているようだ。CMEグループのデータによると、年内の追加利上げについて投資家の動向から算出される確率は4割程度。一方、2024年6月の段階で政策金利が現状よりも低くなっている確率は5割程度あると見積もられている。こうした見立てと比べて、20日に発表される経済見通しが利上げに前向きだと判断されれば、金融市場での金利の先高観がさらに強まる可能性がある。
FRBの見通しがタカ派なら円安ドル高や株安の進行も
金利が上昇すればドル円相場(USD/JPY)では円が売られてドルが買われる材料になりそうだ。6月に年内2度の利上げが示唆された際は、その後の円安ドル高進行のきっかけとなった。一方、株式市場では金利の高さは株価を下押しする要因とされる。S&P500(SPX)は2023年上半期に16%上昇したが、長期金利の4%超えが定着した8月以降は横ばいの状態が続いている。
19日のニューヨーク市場のドル円相場は0.26円の円安ドル高という小幅な値動き。株式市場でもS&P500が小幅安で終わった。それだけに債券市場での長期金利上昇は嵐の予兆ともとらえられ、FRBが示す経済見通しの内容次第で相場が大きく動く筋書きも想定される。
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