米国株に続く難関 S&P500じり高 製造業景況感、見通し超えるか
アメリカのS&P500は9月をプラスで終了。ただし大統領選挙を控える10月には不安もあり、1日発表の製造業景況感が最初の試練になる。
アメリカの株式市場に難関が続きそうだ。S&P500種株価指数の9月30日の終値は2日ぶりの反発。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ以降はじわじわとした上昇が続き、歴史的に値下がり率が大きい9月をプラスで乗り切った。30日は大手ハイテク株も値上がりし、決算発表シーズンへの期待も感じられる。一方、30日の金融市場ではFRBのジェローム・パウエル議長の発言を機に長期金利(10年物米国債利回り)が上昇。S&P500に下落圧力がかかる場面もあり、見通しへの不安は消えていない。10月1日に発表される製造業景況感がつまづけば、10月早々に投資家心理が冷えることも考えられ、11月の大統領選挙を前にした不安から相場が不安定になる可能性もありそうだ。
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アメリカのS&P500は9月に上昇 ジンクス振り払う
S&P500(SPX)の9月30日の終値は前週末比0.42%高。FRBが0.5%利下げを決めた18日以降の9営業日では上昇が5日、下落が4日ともたついてはいるが、この間、2.27%の値上がりを果たした。この結果、9月の上昇率は2.02%高を確保。2000年から2023年までの平均騰落率が1.7%安という9月の悪いジンクスを振り払う形となった。
FRBの11月利下げは0.25%の見通しか パウエル議長が示唆
ただし9月30日の金融市場ではFRBの金融政策をめぐる思惑がS&P500を下押しする場面もあった。パウエル氏は30日のテネシー州での経済イベントで、連邦公開市場委員会(FOMC)の現状について「急激な利下げを急いでいるようには感じられない」と述べ、今後の利下げ幅が0.25%にとどまる見通しを示唆した。これを受けて30日のニューヨーク債券市場では長期金利の終値が3.802%まで上昇。S&P500に下落圧力がかかった。
CMEグループのデータによると、11月6、7日のFOMCでの利下げ幅が0.5%になることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間10月1日午前10時30分段階で38.2%。前日の53%程度から後退している。
製造業景況感指数は6か月ぶりの予想上振れなるか?
こうした中、10月のS&P500の見通しをめぐっては、米サプライマネジメント協会(ISM)が1日午前10時(日本時間1日午後11時)に発表する9月の製造業景況感指数(PMI)が最初のハードルになる。製造業PMIは4月から8月まで5か月連続で市場予想から下振れ。8月分が発表された9月3日にはS&P500が前営業日比2.12%安となる要因になった。ロイターがまとめた市場予想では、9月分は前月(47.2)よりもわずかに高い47.5となる見通しだが、S&P500にとっては不安要素といえそうだ。
また10月は11月5日に大統領選挙を控える不透明感から株価が低調になることも考えられる。2000年以降のデータでみると、大統領選がある年の10月の騰落率は平均3.79%安で、大統領選がない年の3.13%高から大きく見劣りする。S&P500は9月の試練を乗り切ったとはいえ、10月の見通しにも厳しさは感じられるといえそうだ。
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