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米国株の上昇加速も 4日雇用統計 S&P500の見通し不安緩和か

アメリカの9月雇用統計は注目指標が横ばいの見通し。市場に好感されればS&P500の追い風となるが、中東情勢など不安材料も多い。

米国株の上昇加速も 4日雇用統計 S&P500の見通し不安緩和か 出所:Adobe Images

アメリカの株式市場の上昇が加速する好機が近づいている。米労働省が4日に発表する9月雇用統計が、S&P500種株価指数の伸び悩みの要因である米国の労働市場をめぐる不安を和らげる可能性があるからだ。市場予想では失業率などの注目指標は前月からほぼ横ばいになる見通し。結果が想定よりも良くなれば、一進一退を繰り返しているS&P500の先行きが明るくなる可能性がある。ただし米国の株式市場では緊迫化する中東情勢が投資家心理を暗くしており、雇用統計の結果が投資家の期待に応えきれなければ、S&P500の今後の見通しが悪化することも考えられそうだ。

【関連記事】米国株に上昇機運 S&P500雇用統計好感 利下げ見通しは急減速(2024年10月5日)

アメリカの9月雇用統計は失業率などが横ばいの見通し

米労働省は4日午前8時30分(日本時間4日午後9時30分)に9月雇用統計を発表する。ロイターがまとめた市場予想では、非農業部門の就業者数は前月比14.0万人増となり、前月の14.2万人増とほぼ同じ数字になる見通し。失業率は4.2%となり、やはり8月(4.2%)から横ばいになるとみられている。また、平均時給の伸び率も前月と同じ3.8%が予想されている。

アメリカの雇用統計(就業者数増減、失業率、平均時給伸び率)の推移のグラフ

アメリカのS&P500は一進一退 雇用統計を機に上昇加速も

S&P500(SPX)は8月雇用統計が発表された9月6日、就業者数の悪化が悪材料とみなされ、前日比1.73%安となった。その後は、米連邦準備制度理事会(FRB)が18日に決めた4年半ぶりの利下げもあって上昇傾向が続いてきたが、19日に約2か月ぶりの最高値更新を果たしてからは一進一退といえる状態だ。今回の9月雇用統計の結果が労働市場をめぐる不安を和らげれば、S&P500の今後の見通しが開ける可能性がある。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

中東情勢緊迫は不安材料 リスク回避姿勢でVIX指数急上昇

ただし米国の株式市場では中東情勢の緊迫が重荷となっている。1日にはイスラエルがレバノン南部へと侵攻。イランは約180発の弾道ミサイルでイスラエルを攻撃し、イスラエルは報復攻撃を検討しているとも報じられている。1日の株式市場ではリスク回避姿勢が強まり、S&P500は前日比0.93%安となった。

また、米国経済をめぐっては1日に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した9月の製造業景況感指数(PMI)が47.2となり、ロイターがまとめた市場予想の47.5を下回っている。製造業PMIの予想割れは6か月連続だ。

米サプライマネジメント協会(ISM)の製造業PMIの推移のグラフ

こうした中、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(WTI原油)は上昇。シカゴ・オプション取引所によると、1日は19.26まで上昇し、9月9日(19.45)以来の高さとなった。VIXは2日には18.9まで下がったものの、投資家心理の落ち着きが戻ったわけではなさそうだ。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、数値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒感が強いことを意味する。

VIX指数とS&P500の推移のグラフ

雇用統計は8月分のデータが日米株価急落の引き金に

今後の米国の株式市場では、主要企業の2024年7-9月期決算発表も始まる。電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)は2日、決算発表に先立ち、7-9月期の販売台数が前年同期比6.4%増の46万2890台だったと発表。しかし市場で予想されていた46万9828台を下回ったことから2日の株価は前日比3.49%安となった。今後も大手ハイテク各社の決算への不安が高まれば、株価の見通しが悪化する可能性がある。

テスラ、アップル、エヌビディア、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コムの株価の推移のグラフ

株式市場をめぐる不安材料が絶えない中で、9月雇用統計の結果が市場見通しよりも悪くなれば、米国経済が物価上昇鎮静化と景気後退の回避を両立させる軟着陸(ソフトランディング)を実現するとの期待は後退する。雇用統計は前回の8月分のデータでS&P500を下落させただけでなく、8月2日発表の7月分のデータでは米国の株価の急落や、日経平均株価の歴史的な乱高下の引き金を引いただけに、荒い値動きが再現されることも考えられそうだ。


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