米国株値上がり期待消えず 物価上昇わずかに減速 S&P500小幅安
アメリカの12月CPIは悪材料と好材料が交錯する結果。S&P500への期待は消えなかったが、先行きには不安も。
アメリカの株式相場の上昇に対する期待が続いている。11日発表の2023年12月の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が予想を超える大きさになる一方、食品とエネルギーを除いたコア指数では物価上昇がわずかに減速。米連邦準備制度理事会(FRB)が3月に利下げに踏み切るとの観測は結果として強まった。S&P500種株価指数はCPI発表直後に値下がりした後、小幅安の水準まで買い戻されている。ただ、CPIの結果は米国の物価上昇の根強さを示しており、今後も物価動向がS&P500にとっての重荷となる可能性がありそうだ。
アメリカの12月CPIは好材料と悪材料が交錯
米労働省が発表した12月CPIは、総合指数の伸び率が前年同月比3.4%となり、11月の3.1%から加速。市場予想の3.2%を超える結果だった。一方、コア指数の伸び率は3.9%で、11月(4.0%)から減速し、2021年5月(3.8%)以来2年7か月ぶりの3%台となった。ただしコア指数の伸び率は市場予想(3.8%)を上回っている。
LSEGのデータによると、11日のニューヨーク債券市場では、CPI発表直後に長期金利(10年物米国債利回り)が上昇。総合指数での物価上昇加速が材料視されたとみられ、一時、4.068%をつけた。しかし長期金利は午後に入ると低下傾向となり、終値は3.975%となっている。前日の終値からは0.055%ポイントの低下にあたる水準で、終値が3%台となるのは5営業日ぶり。長期金利が低下で終わった背景には、コア指数での物価上昇減速が安心材料になった事情もありそうだ。
FRBの3月利下げ観測は強まる結果に
こうした金融市場の反応を経て、FRBが3月に利下げに踏み切るとの観測は強まった。CMEグループのデータによると、FRBの政策金利が3月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に現状よりも低くなっていることについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間12日午前11時すぎの段階で約70%。前日午前の64%台から上昇している。
FRBの利下げ観測の強まりはS&P500(SPX)上昇に対する期待をつないだ。11日のS&P500はCPI発表後の長期金利上昇とともに下落し、一時は前日終値比約0.9%安となった。しかし長期金利が下がり出した午後には買い戻され、終値は0.07%安の水準になった。S&P500は2022年1月3日につけた史上最高値(4796.56)の更新に向けた足踏みが続いているが、なんとか大幅な後退を免れた形だ。
ただ、12月CPIはコア指数での伸び率が低下したとはいえ、予想よりも上振れており、米国の物価上昇率がFRBが目標とする2%まで低下するには時間がかかるとの見方もなりたつ。金融市場ではFRBが年内に6回程度の0.25%利下げを行うとの見方が有力となっているが、FRB自身が12月の経済見通しで示した3回を超える利下げ回数には期待の過剰さが感じられる。今後、米国の物価上昇減速のペースが弱まっていけば、S&P500上昇に対する期待が薄らぐことも考えられそうだ。
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