円安進行159円台 インフレ率上昇もサービス下落 為替介入水準に
ドル円相場で円安が進行。アメリカの長期金利上昇と日本の物価上昇への不安が材料視されたもようだ。為替介入への警戒が高まっている。
ドル円相場で円安が進行している。21日の東京市場では一時、1ドル=159円台をつける場面もあり、日本政府による為替介入が警戒される水準だ。前日の米国市場ではアメリカの長期金利(10年物米国債利回り)が上昇。さらに21日発表の日本の5月の消費者物価指数(CPI)ではサービス価格の伸びが鈍化しており、2%を超える物価上昇が継続するとの見通しは弱まっている。一方、金融市場では日本銀行が7月に利上げするとの見方が強まっているものの、円安圧力が増していく中で、為替介入をめぐる緊張感が高まっていきそうだ。
円安はドル円相場で一時159.12円 為替介入水準に
LSEGによると、21日の東京市場のドル円相場(USD/JPY)では一時、1ドル=159.12円を付けた。159円台はドル円相場が34年ぶりの円安水準の160.03円をつけた4月29日以来だ。この際は日本政府が円買いによる為替介入を行ったとみられ、ドル円相場は5月3日には151円台まで円高に振れた。このため金融市場では改めて為替介入への警戒感が強まっている。
円安進行の背景になったのは米国の長期金利の上昇だ。LSEGによると、20日のニューヨーク債券市場では長期金利が一時、4.294%をつけ、前日終値の4.217%からの金利上昇がみられた。20日終値段階では日米の長期金利差は3.300%ポイントとなり、3営業日ぶりの大きさとなった。
日本の5月のインフレ率はコアコアやサービス価格が減速
また日本の総務省が21日に発表した5月CPIの伸び率は、総合指数で前年同月比2.8%となり、4月の2.5%から上昇。生鮮食品を除いたコア指数では2.5%で、やはり4月(2.2%)から上昇している。ただし総合指数の伸び率は電気料金の値上がりで0.47%ポイント押し上げられており、経済活動の強まりの表れとはいえない。電気料金値上がりは、再生可能エネルギー発電促進賦課金の引き上げや、政府のエネルギー価格激変緩和対策事業による補助金引き下げの影響があったことが原因だ。実際、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数は2.1%の伸びにとどまり、4月の2.4%から減速している。
また、日銀が賃上げと物価上昇の好循環の有無を判断する材料として重視しているサービス価格の伸び率は前年同月比1.6%となり、4月の1.7%から減速した。これまでサービス価格の伸びを牽引してきた宿泊料の伸び率が14.7%となり、4月(18.8%)から減速していることなどが影響した。コアコア指数の伸び率低下とあわせて、日銀にとっては基調的な物価が持続的に上昇するとのこれまでの見通しを疑わせる材料だといえそうだ。
日銀の7月利上げ見通しは上昇も、積み重なる円安要因
一方、金融市場では日銀が7月30、31日の金融政策決定会合で0.1%の利上げを行うとの見方が強まっている。LSEGによると、日銀の7月利上げについて投資家の動向から算出される確率は日本時間21日午後1時段階で約39%。6月13、14日の決定会合直後の33%程度から上昇している。植田和男総裁は決定会合後の記者会見で7月利上げについて「当然ありえる」と述べていた。
しかし基調的な物価上昇の弱まりが日銀の利上げ見通しを後退させれば、ドル円相場でのさらなる円安圧力になる可能性がある。また、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに対する過剰な期待が後退し、米国の長期金利がさらに上昇することがあれば、やはり円安圧力となることは避けられない。今後のドル円相場は積み重なる円安要因と日本政府の為替介入への警戒のせめぎあいの中で、緊張感が高まっていきそうだ。
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