米国株上昇再加速 S&P500高値30回目 ハイテク株見通し良好
アメリカのS&P500は上昇が加速。アップルやマイクロソフトの株価も勢いづいている。ただし金融市場の利下げ期待には行き過ぎ感もある。
アメリカの株式市場が勢いづいている。17日のS&P500種株価指数の終値は反発し、前週末比0.77%高。2024年に入って30回目の最高値更新を果たした。半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)に加え、アップルやマイクロソフトなどの株価も上向いており、ハイテク株の見通しも明るくなっている。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに対する期待を背景に株式市場での楽観ムードが深まっている形だ。ただし金融市場での利下げ予想はFRBの想定を上回る水準で、今後、投資家が見通しの修正を迫られる可能性は拭えない。株式相場のムードは引き続き、18日発表の小売売上高などの経済指標に左右されそうだ。
アメリカのS&P500は上昇加速 30回目の最高値更新
S&P500(SPX)の17日の終値は5473.23。最高値更新は、1月19日の約2年ぶりの達成以来、30回目だ。S&P500は6月に入ってからの11営業日中、8日で上昇する勢いとなっている。長期金利(10年物米国債利回り)は4営業日連続で4.2%台を維持して低下傾向を保っており、株式の投資先としての魅力を相対的に高めている。
またこのところの株式市場では、S&P500への影響度が大きい大手ハイテク株の見通しも晴れてきている。アップル(AAPL)は人工知能(AI)ブームの火付け役であるオープンAIとの提携を10日に発表し、株価上昇が再加速。5月2日の2024年1-3月期決算発表後の上昇率は25.22%に到達し、2月以降の不振から抜け出してきた形だ。また、オープンAIに出資するマイクロソフト(MSFT)の株価も10日以降6日続伸を記録している。2024年の株式相場を牽引してきたエヌビディア(NVDA)の株価はすでに2023年末比で2.6倍に急騰した。
S&P500の上昇加速のきっかけは12日に発表された5月消費者物価指数(CPI)で物価上昇率が前月よりも低くなったこと。FRBの利下げに対する期待が長期金利低下につながっている。
金融市場の利下げ見通しには行き過ぎ感も
ただし金融市場の利下げ見通しは、行き過ぎの感もある。LSEGによると、金融市場でみこまれている12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は日本時間18日午前11時の段階で4.878%。現状の5.25-5.50%から0.25%幅の利下げが2回行われていると想定されている形だ。しかしFRB自身が12日に示した経済見通しでは、利下げ回数は1回だと示唆されており、金融市場の見通しを下回っている。
フィラデルフィア連銀のパトリック・ハーカー総裁は18日、フィラデルフィア州での講演で経済が見通しに沿って進展すれば「年末までに1度の利下げが適当だ」と述べた。また、ミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁は16日のCBSテレビでのインタビューで、12月まで利下げ着手を待つことが「理にかなった見通しだ」と述べた。CMEグループのデータによると、金融市場では9月FOMCまでの利下げの確率が61%あると見込まれているが、カシュカリ氏はより慎重な見通しを示した形だ。
こうした中、金融市場では18日午前8時30分(日本時間18日午後9時30分)に発表される5月の小売売上高にも注目が集まる。ロイターがまとめた事前予想では、小売売上高の伸び率は前月比0.2%となる見通しで、4月の0%から上向く予想。自動車と部品を除いたベースでは4月と同じ0.2%が見込まれている。4月のデータは3月から伸びが鈍化し、物価上昇圧力が弱まったとして株式市場で好感された。5月のデータが予想よりも上振れるなどすれば今度は利下げ期待が後退し、S&P500を下押しする可能性もある。
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