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米国株、連日最高値 S&P500楽観拡大 経済と利下げの見通しは?

S&P500は連日で最高値更新。製造業PMIやFRB幹部の発言が追い風となった。今後はパウエル議長の発言や雇用統計が相場を揺らす可能性がある。

米国株、連日最高値 S&P500楽観拡大 経済と利下げの見通しは? 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場で楽観ムードが深まった。S&P500種株価指数の2日の終値は2営業日続伸で、連日で最高値を更新。2日に発表された製造業の景況感指数が8か月ぶりに市場予想を超えたうえ、米連邦準備制度理事会(FRB)幹部から利下げに前向きな発言が出たことが追い風となった。金融市場ではFRBの12月利下げ見通しが強まっており、半導体株大手NVIDIA(エヌビディア)を含む大手ハイテク株も2日はそろって値上がりした。ただ、4日に予定されているFRBのジェローム・パウエル議長の発言や、6日に発表される11月雇用統計の結果を受けて、S&P500の今後の見通しが揺れる可能性も残されている。

アメリカのS&P500は2営業日連続で最高値 12月の出だし好調

S&P500(SPX)の2日の終値は前週末比0.24%高の6047.15。2営業日連続での最高値更新で、2023年末比での伸び率は26.78%に達した。S&P500は大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利や財務長官人事が背景となって11月に5.73%の上昇を記録したが、12月の出だしでも勢いが引き継がれた形だ。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

製造業PMIが8か月ぶり予想超え FRBの12月利下げ見通しは強まる

S&P500の2日の上昇は製造業の景況感が上向いたことが要因のひとつだ。米サプライマネジメント協会が発表した11月の製造業景況感指数は48.4となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の47.5を上回った。実績が予想を超えるのは3月以来8か月ぶりだ。ISMは新規受注が8か月ぶりに「拡大」の領域に戻ったと分析している。米国経済の好調さは企業業績の見通しをよくする株高要因だ。

米サプライマネジメント協会の製造業PMIの予想と実績の推移のグラフ

金融市場では米国経済の好調さへの評価と同時に、金利低下への期待も維持されている。ブルームバーグによると、2日のニューヨーク債券市場での長期金利(10年物米国債利回り)の終値は4.192%。2営業日連続での4.1%台で、13日の4.452%をピークとした低下傾向が保たれている。

米国の金利低下見通しは、2日のFRB幹部の発言でも裏付けられた。クリストファー・ウォーラー理事は首都ワシントンでの講演で「現段階では12月の会合で利下げを支持する方向に傾いている」と発言。CMEグループのデータによると、12月17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間3日午前10時には76%に達し、前週末の66%から大きく上昇している。

エヌビディアは2日続伸 テスラは2年8か月ぶりの高値まで上昇

こうした中、2日の米国株式市場では「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク株がそろって上昇した。エヌビディア(NVDA)が2営業日続伸の0.27%高となったほか、電気自動車(EV)大手のテスラの株価(TSLA)は3.46%高の357.09ドルとなり、2022年4月5日(363.75ドル)以来、約2年8か月ぶりの高値。SNS大手のメタ・プラットフォームズの株価(META)は前週末比3.22%高の592.83ドルとなり、10月29日(593.28ドル)以来、約1か月ぶりの高値となっている。

エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、テスラ、アマゾン・コム、アップル、アルファベット、マイクロソフトの株価の推移ノグラフ

エヌビディア以外の半導体株でも、半導体製造装置大手のアプライド・マテリアルズ(AMAT)が前週末比4.90%高となったほか、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)が3.56%高となった。S&P500種構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)の株価も4.51%高となっている。

エヌビディア、アーム・ホールディングスなど米国上場の半導体株の値動きのグラフ

株式市場の楽観ムードはウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の値動きにも表れた。シカゴ・オプション取引所によると2日のVIXの終値は13.34で、前週末の13.51から低下。7月16日(13.19)以来の低水準となっている。

S&P500とVIX指数の推移のグラフ

4日のパウエル議長の発言や6日発表の11月雇用統計がS&P500の見通しを左右

ただ、米国株への楽観的な見通しが今後も続くかは、経済指標やFRBの利下げをめぐる思惑に左右されることは否めない。4日にはISMがサービス業のPMIを発表するほか、午後1時40分(日本時間5日午前3時40分)にはFRBのジェローム・パウエル議長が経済イベントに登壇して発言する。また6日には11月雇用統計の発表が予定されており、米国の労働市場の動向を占う経済指標として注目を集めている。

これらのデータや発言はS&P500を下押しするおそれがある。パウエル議長は11月14日の講演で利下げを急がない姿勢を強調し、S&P500の上昇に冷や水をかけた。雇用統計は1か月前に発表された10月分のデータがハリケーンやストライキの影響で大幅に悪化するという波乱があり、11月分のデータは労働市場の実態を見極める材料として重要度が増している。米国経済の堅調さと利下げ期待に支えられたS&P500の今後の見通しは、ムードが一変する可能性も残っていそうだ。


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