米国株に決算リスク 大手ハイテクの見通しに明暗 S&P500下落も
アメリカの株式市場で23日以降、テスラなど大手ハイテク企業の決算発表が始まる。不振のS&P500に下落圧力がかかる可能性もある。
アメリカの株式市場に決算シーズンのピークが迫っている。23日以降はマグニフィセント・セブンと呼ばれる大手ハイテク企業7社の2024年1-3月期決算発表が続き、投資家心理を揺さぶることになりそうだ。26日までの週内に決算を発表する4社の中では、電気自動車(EV)大手のテスラが減収減益になる見通し。残る3社は増収増益見通しだが、重要事業での成長減速が予想されるケースもあり、投資家の期待を超えられるかは心もとない。大手ハイテク株の値動きの影響を受けやすいS&P500種株価指数は4月に入って4.64%安となっており、投資家の不安が高まる中での決算発表を経て、下落圧力が強まる可能性も考えられる。
大手ハイテク株ではテスラが減収減益の見通し
マグニフィセント・セブンの先陣を切るのはテスラ(TSLA)。23日の取引時間終了後に1-3月期決算を発表し、米国東部時間午後5時30分(日本時間24日午前6時30分)に決算会見を開く。LSEGがまとめた最新の事前予想では、総収入は前年同期比5%減、テスラ決算で投資家が注目する調整ベースの1株当たり利益は40%減が見込まれている。テスラが減収になれば、新型コロナウイルス禍の影響を受けた2020年4-6月期以来だ。
一方、24日に決算を発表するSNS大手のメタ・プラットフォームズ(META)と、25日に発表するグーグルなどを傘下に持つアルファベット(GOOGL)とマイクロソフト(MSFT)の3社はいずれも増収増益の見通し。テスラと明暗が分かれそうだ。
決算が予想を超えても見通し次第で株価下落も
ただ、メタは中国市場の動向次第で成長率が揺らぐ可能性がある。アルファベットは大黒柱である広告事業や人工知能(AI)サービスの提供基盤であるクラウド事業の成長率が10-12月期から鈍化する見通し。マイクロソフトも世界経済の先行き不透明感が顧客企業の投資意欲を削いでいれば、結果が下振れるおそれもある。
また、2023年以降の株式市場を引っ張ってきた大手ハイテク企業の業績に対する投資家の期待は高く、決算の結果が予想を上回った場合でも、4-6月期の業績見通しなどが投資家を失望させて株価の下落につながる可能性も拭えない。半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の18日の決算発表は、結果と業績見通しが共に市場予想を超えたが、TSMCが半導体市場全体の見通しを引き下げたことが世界的な半導体株の下落を招いた。
S&P500は4月に入って失速 アメリカの金利高が重荷に
こうした中、S&P500(SPX)の値動きは失速が続いている。22日の終値は前週末比0.87%高の5010.60。7営業日ぶりの反発で5000の大台を回復した。しかし3月末比での下落率は4.64%安と苦戦が続き、1月から3月にかけて10.16%上昇した勢いはない。10日に発表された3月の消費者物価指数(CPI)が米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待を後退させた結果、長期金利(10年物米国債利回り)は4.6%台まで上がっており、株式の投資先としての魅力が相対的に薄れている。また、中東情勢の緊迫化も投資家心理を暗くし、S&P500を下押しした。
米国の株式市場の今後の見通しをめぐっては、25日に発表される1-3月期GDPと個人消費支出(PCE)物価指数にも注目が集まる。LSEGがまとめた事前予想では、実質成長率は前期比年率2.5%となり、10-12月期の3.4%から減速する見通しだが、個人消費の底堅さが成長率を上振れさせれば物価上昇圧力の強まりが意識され、金利の先高観やS&P500の下落につながる筋書きも考えられる。
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