日経平均、晴れない見通し　S&P500不振　ハイテク株決算に期待

日経平均株価の見通しが晴れない。12日の終値は3週ぶりに反発し、1週間前比で500円超の値上がり。しかし値上がり幅は直前の2週間での大幅下落の3割にも届かない大きさとあって、力強さに欠けている。アメリカで発表された3月の消費者物価指数（CPI）で物価上昇の根強さが確認され、米連邦準備制度理事会（FRB）による利下げ観測が後退したことが重荷となっているようだ。こうした中、米国の株式市場ではS&P500種株価指数が2週連続で下落している。一方、今後発表される大手ハイテク企業の2024年1-3月期決算は好材料になる可能性があり、株式市場のムードや株価の動向に影響を与えそうだ。

日経平均は半導体株の反発で週次531円高

日経平均（N225）の12日の終値は3万9523.55円で、1週間前比で531.47円高となった。週次での上昇は3週ぶりだ。ただ、この上昇幅は直前2週間での下落幅（1896.35円）の3割に満たない大きさ。3月22日の最高値（4万0888.43円）からは1300円超後退しており、見通しが明るいとはいえない。

日経平均にとって好材料だったのは、前週に不振だった半導体株の反発だ。週次の上昇率は、半導体製造装置の東京エレクトロン（8035）が5.98％、半導体基板を手掛ける信越化学工業（4063）が5.90％高だった。また半導体検査装置のレーザーテック（6920）も9.51％高となり、この3社で日経平均を330円近く押し上げている。これに対して、衣料品チェーン店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング（9983）は11日に発表した2024年2月中間期決算と通期の業績見通しが投資家の期待に応えられず、1銘柄だけで日経平均を200円近く押し下げた。

アメリカのS&P500は大手銀行の業績見通しで下押し

日経平均が値上がりする中でも相場のムードが盛り上がらない背景には、米国で10日に発表された3月CPIで物価上昇の根強さが感じられたことがある。金融市場では米連邦準備制度理事会（FRB）の利下げ期待が後退し、米国の長期金利（10年物米国債利回り）は10日には11月中旬以来の高さとなる4.5％台まで上昇した。

12日のS&P500種株価指数（SPX）の終値は前日比1.46％安の5123.41で、1週間前比では1.56％安。12日に発表されたJPモルガン・チェース（JPM）など大手銀行の1-3月期決算が投資家の期待に応えられなかったことが株価を大きく下押しした。JPモルガンの1-3月期決算では、金利収益が前年同期比11.4％増の230.82億ドルで、LSEGがまとめた市場予想の232.09億ドルは超えられず。また、2024年通年の市場事業を除く金利収益の見通しは最大890億ドルで、こちらも市場予想（906.76億ドル）を下回った。

こうした中、米国のハイテク株の値動きも冴えない。アメリカの半導体大手のNVIDIA（エヌビディア、NVDA）の株価の12日の終値は881.86で、1週間での値上がりは0.20％に留まった。メタ・プラットフォームズ（META）は2.93％安、マイクロソフト（MSFT）は0.85％安となっている。

TSMCが好決算ならハイテク株にとっては光明か

ただ、ハイテク企業の決算発表を控え、明るい兆しも出ている。半導体受託製造で世界最大の台湾積体電路製造（TSMC）は10日に1-3月の台湾ドルベースでの総収入が前年同期比16.5％だったと公表。世界のハイテク企業の半導体投資が好調である様子を印象付けた。TSMCが日本時間の18日午後3時に発表する1-3月期決算の中で、4-6月期の業績見通しが市場予想を上回るなどすれば、TSMCの米国預託証券（ADR）の株価（TSM）はもちろん、世界の半導体株にとって追い風になることも考えられそうだ。

このほか、電気自動車（EV）大手のテスラ（TSLA）は23日、メタは24日、マイクロソフトとアルファベット（GOOGL）は25日に1-3月期決算を発表。さらにアップル（AAPL）は5月2日に決算を発表すると公表している。各社の決算の内容や今後の業績の見通しが投資家に与える印象が、S&P500や日経平均の先行きを左右しそうだ。