日経平均を襲う半導体株安 S&P500も下落 ハイテク株見通し不安
日経平均は週次1377円安。S&P500も3週ぶりに下落した。雇用統計は万全の結果だったが、金利高を招き、株式市場の見通しは不透明だ。
日経平均株価の下落に拍車がかかった。5日の終値は1週間前比で1377.36円安。一時は22%を超えた年初来の上昇率も16%台まで下がり、記録的な値上がりの勢いが失われた。日経平均への影響度が大きい半導体株が軒並み下落しており、米国経済の先行きに対する不安が重荷となった形だ。アメリカの株式市場でもS&P500種株価指数が3週ぶりの週次下落を記録している。一方、5日に発表された3月雇用統計が万全の結果だったことは明るい材料だが、株式相場の逆風になる金利高を招いている。3月の消費者物価指数(CPI)や大手ハイテク企業の決算発表を控え、今後も株式市場の見通しは不透明だ。
日経平均は週次で1377円安。年初来上昇率は16%に後退
日経平均(N225)の5日の終値は3万8992.08円。1週間前比での下落幅は2022年6月13-17日週(1861.29円安)以来、約1年10か月ぶりの大きさとなった。2023年末での上昇率は16.52%で、3月22日の史上最高値(4万0888.43円)で記録した22.19%高からは大きく後退している。
米国経済の見通しに対する不安が半導体株安を招く
半導体株の減速の背景にあるのは、米国経済の見通しに対する不安だ。これまで順調に進んできた物価上昇率の低下が鈍る中、米連邦準備制度理事会(FRB)内からは利下げに慎重な声も目立ち始めた。6月が有力視されてきたFRBの利下げ開始が後ずれすることは、企業や個人の経済活動が圧迫される期間が長くなることを意味する。結果として企業の投資余力が失われていけば、今後、半導体に対する米国の大手ハイテク企業からの需要が弱まる筋書きも想定される。
こうした中、アメリカの半導体株の値上がりにもブレーキがかかっている。半導体大手のNVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価の5日の終値は880.08ドル。1週間前比で2.60%の下落に見舞われた。アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)は5.58%安と大幅に下落している。エヌビディアなどの不振を背景にして、5日のS&P500(SPX)の終値は1週間前比0.95%安の5204.34となり、3週ぶりの週次下落となった。下落率は1月1-5日週(1.52%安)以来の大きさだ。
アメリカの3月雇用統計は万全の結果
一方、5日に発表された3月雇用統計はS&P500への不安を打ち消す好材料となった。非農業部門の就業者数は前月比30.3万人増で、市場予想の20万人増を大きく上回る数字。失業率は3.8%で市場予想の3.9%を下回った。さらに平均時給の伸び率は前年同月比4.1%で、2月(4.3%)から低下している。雇用が増えて失業率が下がっても、賃金が上がって物価上昇圧力になる恐れがないという理想的な結果だ。S&P500は5日に限ってみれば前日比1.1%高となっている。
ただ、雇用統計の強さは、株式市場が待ち望む米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待を遠のかせた。CMEグループのデータによると、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に政策金利が現状よりも低くなっていることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間6日朝の段階で約49%で、前日朝の66%から大きく低下した。また、長期金利(10年物米国債利回り)の5日の終値は4.378%で、前日から0.069%ポイント上昇している。米国経済の強さが今後も金利高につながっていけば、株式市場の見通しを悪くする懸念は拭えない。
テスラなどハイテク株は下落が続く
今後の金融市場の焦点は10日に発表が予定されている3月の消費者物価指数(CPI)に移る。中東情勢の緊迫化が呼び込んだ原油高の余波が感じられれば、FRBの利下げはさらに遠のき、S&P500や日経平均を下押しする可能性がある。また、4月中旬以降には米国の大手ハイテク企業の2024年1-3月期決算発表も控えている。テスラ(TSLA)やアップル(AAPL)は株価下落が続いており、ハイテク企業の業績に対する不安が株式市場の見通しを暗くする可能性もありそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。