2024年米国株に期待薄 個人投資家見通し S&P500小幅高か
アメリカの個人投資家は2024年の株価に小幅高を期待するだけ。S&P500の史上最高値更新を前にした足踏みの背景か。
アメリカの個人投資家が2024年の株価上昇に冷静な目を向けている。28日のS&P500種株価指数の終値は前日からほぼ横ばい。2年前につけた史上最高値の年内更新が危ぶまれる状況になった。この日発表された米個人投資家協会(AAII)の調査では、来年のS&P500の予想は28日終値よりもわずかに高いだけの水準で、値上がりへの期待は薄いようだ。一方、個人投資家は2023年の投資の結果には大満足だったもよう。2024年に過度な期待を抱かなくても済むだけの余裕があるともいえそうだ。
S&P500は史上最高値まで0.28%で足踏み
28日のS&P500(SPX)の終値は前日比0.04%高の4783.35。2022年1月3日の史上最高値(4796.56)まではあと0.28%に達した。とはいえ26日にあと0.46%に迫ってから、2日連続で足踏みが続いた形だ。28日に発表された17-23日週の新規失業保険申請件数は21.8万件で市場予想(21万件)を上回り、米国の労働市場の過熱感の治まりが示されたが、大きなプラス材料にはならなかったようだ。
株式相場の勢い不足の背景には個人投資家の冷めた視線がありそうだ。毎週個人投資家の相場観を調査しているAAIIが28日に発表した特別調査によると、個人投資家が見込む2024年のS&P500の上昇率は8日終値比で平均4.7%。史上最高値をわずかに上回る4820.78にあたる水準で、28日終値との比較では0.78%高にすぎない。
こうした個人投資家の冷静さは直近の週次調査の結果にも表れている。今後6か月でS&P500の値上がりを見込む投資家の割合は27日集計分で46.3%となり、前週の52.9%から低下。株式相場に強気な投資家の割合は、米連邦準備制度理事会(FRB)が2024年の3度の利下げの方向性を示した13日集計分から2週連続で50%を超えていたが、一方的な強気派の増加にはつながっていない。また、弱気な投資家の割合は27日集計で25.1%となり、3週ぶりに20%台まで増えた。
2024年の株価に弱気な著名ストラテジストも
2024年の株式相場をめぐっては、FRBによる利下げが追い風になるとの見方が多い一方、FRBが7月まで続けてきた利上げの効果が時間差で現れて経済活動を冷やし、株価を下押しするとの見方も根強い。米メディアによると、JPモルガンの著名ストラテジストのマルコ・コラノビッチ氏は、FRBの利下げの方向性が明らかになった後の20日付の顧客向けノートで「リスク性資産や広範なマクロ経済の先行きに慎重なままだ」と言及。JPモルガンは11月にS&P500は2024年末に4200まで値下がりするとの予想を示したという。
一方、個人投資家の控えめな期待の裏側には現状に対する満足感もありそうだ。AAIIが特別調査に中で2023年の投資結果について尋ねたところ、20%が「期待をはるかに超えた」と回答。47%が「期待以上」、23%が「ほぼ期待通り」と答えた。個人投資家の9割が2023年の成績に満足している状態といえ、2024年については過度な期待を抱かずに状況を見極めようという余裕も感じられる。
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