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アーム、収入見通し変わらず 株価急落 AIブームの収益化に時間?

アーム・ホールディングスの2024年4-6月期決算発表は通期業績の上方修正は行われず。31日の時間外取引で株価は10%下落した。

アーム、収入見通し変わらず 株価急落 AIブームの収益化に時間? 出所:ゲッティ

イギリスの半導体大手アーム・ホールディングスがアメリカ東部時間31日の取引時間終了後に行った2024年4-6月期決算発表は投資家の失望を招いた。要因のひとつは、注目された2025年3月通期の総収入の見通しで上方修正がなかったこと。4-6月期の業績は市場予想を上回ったものの、成長加速への確信は得られない内容だった。アームの半導体は人工知能(AI)ブームの中で需要が増しているが、収入の本格的な増加には時間がかかるとも感じられている。アームの株価は31日の時間外取引を10%超の値下がりで終えており、株価上昇の流れがさらに弱まった。

【関連記事】アーム、総収入見通しは? 6日決算 米半導体大手との対立に不安も(2024年10月30日)

アームの4-6月期決算は予想超え 通期業績見通し変わらず

アームの4-6月期決算は総収入が前年同期比39.1%増の9.39億ドル。調整ベースの1株当たり利益(EPS)が66.7%増の0.4ドルだった。LSEGのデータによると、直前の市場予想は総収入が9.03億ドル、1株当たり利益が0.34ドル。発表された数字は、いずれも市場予想を上回る結果だった。

アーム・ホールディングスの業績(総収入、1株当たり利益=EPS)の推移のグラフ

しかし投資家の注目は今後の収益の見通しに集まった。アームが示した業績見通しは、2025年3月通期の総収入が38億-41億ドルとなり、1株当たり利益は1.45-1.65ドルになるという内容。いずれも5月8日の前回決算発表時の見通しと同じ数字だった。中間値の総収入39.5億ドルと、1株あたり利益1.55ドルは、いずれも金融市場で見込まれていた40.2億ドルと、1.58ドルを下回った。

また、アームが示した7-9月期の業績見通しも投資家の期待に十分に応えられなかった。総収入での7.8億-8.3億ドル(中間値8.05億ドル)は市場予想の8.04億ドルと大差ない範囲。1株当たり利益での0.23-0.27ドル(中間値0.25ドル)との見通しも、市場予想の0.27ドルを超えられなかった。

ロイヤリティ収入はライセンス締結から3年以上のラグ

アームが強い業績見通しを示せない背景には、AIブームの収益化に時間がかかる構造がありそうだ。アームの総収入の内訳は、顧客企業とアームの技術を用いた半導体製造の契約を結ぶ際にアームが受け取るライセンス収入と、顧客企業がアームの技術を用いた半導体の製造で得た収入に応じて受け取るロイヤリティ収入の2種類。4-6月期はこのうちライセンス収入は前年同期比71.6%増だったが、ロイヤリティ収入は16.8%増にとどまった。

アーム・ホールディングスのライセンス収入とトイヤリティ収入の推移のグラフ

ジェイソン・チャイルドCFOは31日の決算会見で、2025年3月期のライセンス収入について「楽観の度合いが高まっている」と言及。ルネ・ハースCEOは、AIの普及は「アームの高性能で消費電力が小さい半導体技術への需要を高めている」と指摘した。ただしライセンス契約を結んだ半導体が実際に販売されてロイヤリティ収入が得られるまでには数年の時間がかかる。ハース氏は会見で、スマートフォン向け半導体では3年程度、データセンター向け半導体ではより長いタイムラグが生じると説明した。

アームの株価は時間外取引で10%超下落

こうした発表内容を受けて、アームの株価(ARM)は31日の時間外取引を129ドルで終えた。31日の終値(144.17ドル)との比較では約10.5%の下落だ。アームの株価は10日に186.46ドルをつけ、2023年末の水準の約2.5倍に達していたが、勢いは大きく失速したといえそうだ。

一方、アームのライセンス収入の順調な拡大は、時間差があるにせよ、将来のロイヤリティ収入につながる好材料であることは間違いない。今後、ロイヤリティ収入の堅調な伸びが確認されるなどすれば、アームの成長性や株価上昇への期待も高まっていく可能性がある。


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